胸に「雷」のピンバッジをつけた男子、電__紫電院ライリュウがゆっくりと振り返った。
ウマの声に構わず電は勝手に続ける。
そういう電の声は、この世の闇を一身に集めたような、暗くて冷たいものを帯びているようだった。
電の声は憎しみに満ちて震えていて、心なしか電の目は濡れていた。
円卓を叩く鈍い音がドームいっぱいに響き渡り、電は床を蹴って立ち上がる。
決意の雷に爆ぜていた声色が、一気に嘲りの色に染まって、続く言葉を紡いだ。
そういえば桔梗路会長も嘆いていた。
最近はデモが多すぎるとか。
そこで電は、取り乱したことを恥じ入るように椅子に腰掛け直した。
電はドームの天井に映る宇宙を見上げて続けた。
狂気じみた笑いが空間を埋め尽くす。
その源が電だと気づくまで時間が掛かった。
誰もが何も言えず、電が少し困ったような笑みを浮かべた。
自分だけじゃない。
ほとんどの参加者が、電の言った家名の意味を理解していない。
___でも、どれも名家だということは分かる。
激しかった表情が消え、儚げな笑顔に変わった。
天井に投影された星々の中のたった一つが、濃紫の光を放ち煌めいた。
数拍の静寂の後に沈黙を破ったのは、プレなんとかの二人だった。
露が押し黙った。
そして、いつの間にか全員がドームに集まって電の話を聞いていることに気付いた。
そう言ったのは、ゴシック風の衣装を身に纏い、胸に「冥」のピンバッジをつけた女子だった。
雪はウマを制止し、ウマは競走馬のようにぶるると息を吐いた。
とはいえ、自分もウマの気持ちは分かる。
唐突に人造人間を創出する、なんて言われて
「はいそうですか」
なんて言える方がおかしいだろう。
含みのある闇の言葉の切り方に、みんなが不穏な空気を感じる。
闇の笑みが嘲りを含む。
銀が何か言って、闇が少し動きを強張らせた。
突然反問されて自分は少し戸惑った。
…人権を持たず、サンドバッグにされ放題の人間もどきが現れるのだから____
そうは言ったものの、影も電も歯痒そうな表情を隠せていなかった。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。