第8話

6話 漁夫の利
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2026/05/06 05:56 更新
アサギ───彼女は清掃業者だ。

しかし、ただの清掃業者ではない。

殺し屋が作った汚れを清掃してくれるのだ。

そんな彼女とは、約2年の付き合いとなる。

彼女とは親しい友人のつもりでいる。
彼女としてはそんなつもりがないらしいが…

彼女は元気いっぱいで、話していて楽しいから、いつか仲間になったカンヒュ達に紹介したい。

その旨を伝えると、彼女は呆れたように溜息をつく。
あなた
な…なにさ…
なにかまずいことでも言っただろうか。

待ち合わせたカフェの窓から見える外は相変わらず滝のような雨が降っている。

アサギは腕を組んで「いいか?」と言った。
アサギ
お前は油断しすぎなんだ。そのお仲間サンが裏切る可能性とか考えてみろよ。少なくとも巻き添えは嫌だからな!
そうか、彼女は一見天真爛漫そうだが、実はかなりの用心深さがある。

だから信用するのにもかなりの時間がかかるようで、こうやって顔を出してくれるのにも1年半はかかった。

私は目を細める。

さて、どうやって紹介しようか。

そう考えていると、アサギに叱られる。
アサギ
だいたい、お前は目的を見失ってないか!?それに、例の依頼を片付ければそれっきりさよならな関係なんじゃないのか?
あなた
いやいやいや、そんなことはないよ!
そういえば、彼女にはまだ言っていなかったことがある。

昔、カンヒュ達に助けてもらったことがあるのだ。

そのことを彼女に伝えると、「ふーん…」と言ってから「でもさ」と切り出す。
アサギ
僕はまだ信じてないから
そう言った後にごちそうさまとだけ言って席を立つ。

ちょっと待て。金は置いてけ。と言う間もなく、アサギはカフェを出ていってしまった。

せめて自分のご飯代くらいは払ってくれても良くない?

私そこまで生活費に余裕がないんだけど!?

まあ、見たもの気に入ったものをすぐに手に取り、後先考えずに購入している私が悪いのだけど。

お陰で今のアジトはガラクタだらけだ。
ちなみにアサギにはゴミ屋敷と呼ばれている。ふざけんな。

致し方なくアサギの分まで“わざわざ・・・・”払っておいてあげる。

次に会ったら絶対に徴収してやろう。

舌打ちしながら店を出ると、丁度ターゲット予定の人物が目の前を通っていったので、そのまま追跡することにした。
このターゲットは裏社会のお偉いさんで、小規模でやっている殺し屋を散々いじめていたらしい。

私も小規模なので気をつけなければと思っていた矢先、この依頼である。

もしかしたらこの依頼を機に中規模くらいにはなれるのではと下心を持ちつつ、ターゲットを追跡していると、とある建物についた。

ここは、ターゲットのアジトだ。

そして今から私はこの身一つでアジトに突撃する。
あなた
こんにちは〜!!!!!!!!!!
そう言って私はナイフを懐から出し、さっそく門番をやっつける。

次に騒ぎを聞きつけた見回りもやっつける。

あ、ヤバい。
さっきの元気な挨拶で喉がやられた。喉痛い。

アジトを走り回りながら私はターゲットを探す。

もしかしたら隠れられたかもしれない。

曲がり角を曲がろうとしたとき、目の前からナイフが飛んできて慌てて避ける。
あなた
ちょっと!!!危ないでしょ!!!!やるなら真正面から来いよ!!!ビビリ!!!
ターゲット
お前の持ってるものも十分危ないだろ!!!
あなた
あ!!!み〜〜〜つけた〜〜!!!!
ターゲット
空気感が全く合ってない!!!
ターゲットがなんかゴタゴタ面倒くさそうなことを言っているが、コロせばモーマンタイ。

ターゲットと鬼ごっこの始まりだァ。

私はとりあえずその辺にある傘だのなんだのをターゲットに投げて、逃げにくくする。

途中、窓ガラスが割れたりしたが、私の家ではないので関係ない。

階段は手すりを飛び越えて一気に距離を詰める。

今なら運動能力賞貰えそう。

そして階段を三段飛ばしで駆け下り、ついにターゲットに刃をさせる────瞬間、私の頬に銃弾がかすった。

銃声と共にかすった銃弾はそのままターゲットに当たり、ターゲットは脱力して倒れた。

当たった場所は心臓あたりだったので、即タヒさせるつもりだったのだろう。

周りを見ると、私とターゲット以外に誰もいなかった。

一応……一応、自分のナイフでトドメをさしておく。
ターゲットの反応はとくになかった。

__誰がこいつをコロしたのだろうか。

なんか…なんか、なんか腹が立ってきた!

自分の手柄横取りすんじゃねぇーー!!!!!

よし、決めた!横取りしてきたやつ見つけてやる!

そう思ったらすぐ行動。

飛んできた銃弾の位置からして、隣のビルから撃ってきたのだろう。

終わったからって帰られては困る!!!!!

私はすぐに隣のビルへ移動するために、走って階段を駆け下り、ビルの前で待ち伏せる。

しばらくして出てきたのは、スナイパーを持って仏頂面をしたカンヒュ──フィンランドだった。
あなた
ちょっと〜、そこのお兄さん〜!私の手柄横取りしておいて、謝罪なしとか言わせねぇからな!?
私は急いで彼の前に立ち塞がり、絶対に帰れないようにする。

一方彼は「はぁ!?」と言いたげな顔をしている。

意味わかんないよね、でもね、譲れない。
あなた
私!!!依頼で!!!生きてんだよ!!!これ!!!私の!!!依頼!!!分かる!!?
フィンランド
分からん
あなた
なんで!?!!?!?!?
フィンランド
うるせぇ
全く…この子反抗期なのかしら!?
そんな子に育てた覚えはございません!!!!
…あ、私親じゃねぇわ。

急に意識が戻ってきて、なんかどうでも良くなってきた。
あなた
フィンは?依頼?
フィンランド
フィンって……まあ、依頼だな
あなた
漁夫の利ってか?
フィンランド
そうなるな…ってか急にテンションまともになるのやめて?怖い!
フィンランドに怖がられてしまったので、「じゃあな」と言って退散しようとすると、後ろから声をかけられた。
フィンランド
お前、頬のやつもしかして俺の銃弾…?
おっとぉ…?これは心配されているのか?

だとしたら流れ変わってくるぞ?
あなた
あー、気にしなくていいよ、たまたまだし
そう言って私は帰っていった。

最後、フィンランドがなにか言いたげにしていた気がしたが、きっと気の所為なので気にしないでおく。

そして依頼主から聞いたのだが、何かあったときのために他の殺し屋にも依頼をしていたらしい。

説明をし忘れていた謝罪の意味も含め、依頼料は払ってくれた。

さて、この金で骨董品でも買いに行くか。

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