あなた 視点
静まり返った長屋の一室
『(どどどどうしよう、何から話せばいいんだ、!?)』
私は冷や汗をダラダラと流しながら、そんな事を考えていた
「あなた、大丈夫か?」
汗が凄いようだが、、、と心配そうにする鉢屋三郎先輩
『ちっ違うんです!!』
『……先輩、私あんまりこういう話をした事か無くて、だから、、そのぅ』
私が口ごもっていたら、先輩が 嗚呼、と声を上げる
「悪い、そこまで配慮が行っていなかった」
今から私が聞くことに、答えられそうな事だけ応えてくれ。そう言われ私はブンブンと頷く
「それじゃあ、まずこれは一番に聞きたい事だったんだが、お前は三年に上がる春休みに、何かあったのか」
それは問いかけている様に見せかけて、絶対的な確信を持っていた
『はい』
先輩はそうか、とだけ言って黙ってしまう
「その何かについて、私に話すことは出来るか」
あまり圧のない、優しい声色
『……簡単に言うのなら』
詳細まで言っちゃうと、今は色々大変だ
近頃きっと任務にだって行かなければならない
私はもう二度と、迷惑も心配も掛けたくないのだ!!
『私には、前世の記憶というものがあるのです』
「ッ、??!」
今まで何にだって動揺を示さなかった先輩が、大きく口を開けて動揺していた
『どんな記憶だったか、覚えている所もあればいない所もあります』
と言っても、偶に前世の記憶を夢として見るから
忘れても思い出せるんだけども、、
『内容は教えることは出来ません』
『でもその記憶の中に、私が貴方達を避ける理由になり得る物があった事だけは』
『事実です』
真っ直ぐ先輩の目を見た
もう逸らさない、この非科学的な出来事にも
「そうだったのか、」
そしてまた黙り込んでしまう先輩に、私は段々と涙が滲んでくる
『(いや鉢屋三郎先輩だったら信じてくれそう~!
って感じ取って話したはいいけど)』
『(これ確実に中二半認定された〜〜!!!)』
どんどん滲んでくる涙を、手でゴシゴシと拭っていたら
「な、泣いてる」
とどこか焦った様子の先輩の声
『先輩私の事嫌いになっだーーー!!ゼッタイ私嫌われたぁぁーー!!』
うわぁぁぁん!!と泣き叫ぶと
「きらっ!?!違う!!違うから泣かないでくれ!!!」
となぜか私の周りをクルクルと回る先輩
「今あなたの泣き叫ぶ声が、、!?!」
「あなた!!どうした!!!」
『あ』「げ」
勢いよく戸が開いたかと思えば、雪崩のように滑り込んできた平滝夜叉丸先輩と田村三木ヱ門先輩
「せ、先輩……」「な、何やってるんです……」
ドン引いているのを隠す様子もなく、ジトッと見つめてくる二人
「違う!まて、、話をだな」
「先輩!私の可愛いあなたに何したんですか!!」
「いや今からそれを話そうとしていただろ!!?」
二人に振り回される鉢屋三郎先輩を、なんて不憫……と憐れみの眼差しを向けて見てしまったのは
仕方ないと思う。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。