第51話

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2025/03/18 08:09 更新

三郎 視点




「ああ、ここにいたのか」

鉢屋、と声をかけられ後ろに振り向く


「食満先輩、どうしたんですか」

「今日例の任務について話をするから、六年い組の部屋に集まってほしいんだ」

例の任務……五、六年生合同任務の事か


「わかりました」

「よろしく頼むぞ」











「三郎、そろそろ行こう」

「嗚呼、そうだな」

開いていた本を閉じ、立ち上がる







「五年ろ組不破雷蔵です」
「同じく、五年ろ組鉢屋三郎です」

「入ってくれ」

失礼します、と言って戸を開く

先に来ていたのか勘右衛門と兵助、八左ヱ門がもう既に座っていた。



「後は、小平太と長次、あなただけか」

そう立花先輩が言い終える前に、ものすごい勢いで誰かが戸を開いた


「………小平太、勢いをつけすぎだ」

「そうか!すまん!!」

中在家先輩に注意され、大きく口を開けて笑う七松先輩

「はぁ、それじゃあ後はあなただけか」



先輩がそう言ってから、数分も経たない内に戸が叩かれた

『三年い組小倉あなたです』

「嗚呼、入ってくれ」


「……」

入ってきたあなたは、指先が震えており酷く緊張した様子だ


「(まあ、無理もない。何せ五、六年生の合同任務に下級生が参加するなんて、前代未聞だ)」

普段の任務以上に危険な任務と、先輩方が噂していたのを覚えている



「あなた?どうした??」

そんな声につられるように、あなたの方を見る

なぜか目をつぶり、眉を寄せているあなた


善法寺先輩が心配そうにあなたを見ている

「どこか痛いのかい?」

そう聞かれ、直ぐに目を開くあなた

「(体調が悪いのか?)」


食満先輩があなたに何か声をかけているが、小さくてあまりよく聞き取れなかった


「それで、本題に入るが」

そう潮江先輩が言葉を発する

部屋の空気が変わった気がした


潮江先輩の話によると、盗み出す密書が置いてあるのは

アズキマメマメ城と言うらしい。

流石先輩だ、もうそこまで



『ヒュ、ヒュッヒ』

何か酷く掠れた呼吸音が聞こえ、何事かと聞こえた方に目をやる


「あなた!?っ大丈夫かい!」

「(あなた、?!)」

目を向けた先には、自身の胸を抑えろ呼吸を荒らげるあなた

いち早く異常に気がついた善法寺先輩が、あなたの背中を撫でながら問いかけた


「……これは」

背後でそんな声が聞こえる。中在家先輩か、、


暫くそうして、落ち着いたのかとても焦った様子で涙を拭いながら謝るあなた

「(泣くほどの何かがこの数分の間に起こったのか...)」


先輩方が、今日はもう部屋に戻れと声をかける

私もそれに賛成だ


あなたは、俯きながら小さく声をもらした


『また……迷惑を…かけてしまった』

「(………)」

あなたは、一体何を抱えているのだろうか

何を思っているのだろうか



私は……それを知ることができるのか、?



また先程よりもさらに小さなこえで何かを口にしたかと思えば、

立ち上がり申し訳ないが帰る、と頭を下げるあなた



今しか、ないかもしれない

なんとなくそんな気がした


「まて、私も着いていく」

素っ頓狂な声を上げるあなたをよそに先輩に声をかける

戸を開けて、外に出る

夜風が涼しい


「ほら行くぞ」

そう言って、手を差し出せば


目を丸くして、立ち尽くすあなた

私は、そんなあなたの手のひらを強引に掴んで、引っ張りながら歩き出した







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