第6話

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2025/06/09 16:53 更新






あなた
い、いさくっ!
善法寺 伊作
ん?どうしたのあなた


タタタ とゆっくりと道なりを行く背中を追いかけ、息をのみこみ、勇気を出してその名を呼ぶ。




可憐な風を纏い、振り向く君。



あなた
ぃ、伊作はどうして仙蔵と一緒に…?
善法寺 伊作
あぁ、仙蔵と合同実習だったんだ。
その帰りにうどんでも食べようって話になってね



あーで、こうで…と、実習の内容を事細かに説明してくれる伊作。




仙蔵の完璧な不運対策によっていつもより被害が少なかったと嬉しそうに話してくれる




あまりに楽しそうに話してくれるものだから、ついそんなうれしそうな顔を見つめてしまう。




あぁ、愛おしいなぁ…。伊作は、僕のこともこんな風に話してくれることがあるのだろうか…。


善法寺 伊作
あなた…?ぼぅっとしてどうしたの?
あなた
ん…?あっ、なに?



善法寺 伊作
いやぁ、ずっと僕の顔見つめられちゃ…気になるよぉ




えへ…と眉を八の字にしながら後頭部をさする伊作。




無意識だった…。伊作の全てが好きで、性格も、もちろん顔の造形も。顔を見れば伊作の性格を知った上での安心感と、伊作の優しい、暖かい表情についうっかり見惚れてしまう


あなた
ごっ、ごめん!



焦って勢いつけて首を回してしまった。痛い…。



善法寺 伊作
はは、そんな焦ることかな?
あなた
や、そのぉ…








竹谷 八左ヱ門
あの二人、仲良いですよねぇ
立花 仙蔵
ん?ああ、そうだな。
まぁ、あなた本人は自覚してないらしいが。
竹谷 八左ヱ門
ええ!?あれで…!?






愉快な話声と共に四名の足音が噂のうどん屋さんへと近づく。




腹の虫を鳴らせている伊作と仙蔵、と、何故か八左ヱ門も腹を空かせていた。





店主のおじちゃんに4人前のおうどんを注文。




届いたそれは、いかに美味しそうな…早く食べてくれと言わんばかりの出汁の香りを漂わせ、僕らの胃袋を刺激する




「 「 「 「 いただきます !」 」 」 」





パンッと音を揃えて手を叩くと、揃いに揃って麺をすする。





美味しい。


食べ物の感想を述べるのは得意ではないが、複雑な言葉を並べなくとも、この一言に尽きるのだ。







夢中で麺をすすり、時に隣、向かいに座る連れと顔を合わせたり、時に談笑を挟んだり…




楽しいひと時を過ごした。






善法寺 伊作
ご馳走様でした〜!
はぁ〜!おなかいっぱいだ!
立花 仙蔵
あぁ、絶品な一品ひとしなだったな。
店主殿。ご馳走様でした
竹谷 八左ヱ門
ご馳走様でした!
あなた
ご馳走様でした。




『 あぁ。みなさん大変美味しそうに食べてくれるもんで、作った甲斐があったってものよ。
 ありがとさん』



親切な店主に手を振り、横に4人で並び、満足そうなみんなの顔を見る。





伊作は満足そうに膨れた腹をさすり、八左ヱ門は歩きながら道なりの畑の虫を目で追い、




仙蔵は…


あなた
な…なに、仙蔵
立花 仙蔵
たまには、悩みを忘れて、
大勢で出かけるのも悪くはないだろう?



ジッとこちらを見つめていたと思えば、こいつも僕を観察していたのだ。



どうやら、仙蔵から見ても、僕も大変満足した顔をしているらしい



あなた
うん…。
八左ヱ門、誘ってくれて、ありがとう



竹谷 八左ヱ門
え?気にしないでください!
おれも腹減ってただけなんで!
あなた
ふふ、そう



仙蔵の言葉で気がついた。




八左ヱ門は僕を気遣って町に誘ってくれたのだろう、



けれど、今の言葉は心のありのままの言葉だってわかる



草むらに隠れている大きな虫をみつけ、おほーっと声を上げる八左ヱ門を見ながらそんなことを考える。



あなた
あと…伊作、と仙蔵



立花 仙蔵
なんだ、まるで私がおまけみたいではないか?
あなた
そ、そんな事ない!




自分の本心を語る時、少し顔を俯いてしまう。




なるべく顔を見られないように、それでも目を見て話すように、オドオドと2人を交互に見ながら話を続ける


あなた
あ、ありがとう…
僕を元気づけるために2人の予定まで潰しちゃって…



立花 仙蔵
ふ、なぁに。
私たちの目的は、本当にあのうどん屋だったんだ。
感謝される事などしてない
善法寺 伊作
あぁ!
それに、あなたが元気になるなら空けられる予定は空けてみせるさ



僕はどれだけ完璧な同室をもって、、どれだけ素敵な人を好きになってしまったんだ。



すこし、ほんの少し瞳が潤うのを感じる


あなた
うん、ほんと、ありがとうね




グシッと布で目元を軽く拭い、改めてお礼を伝える。



立花 仙蔵
そこまで礼を言われる程じゃないと言っただろう。
泣くな
あなた
ま、まだ泣いてない!



仙蔵と白く大きな掌に頭を掴まれ、やめろと軽く抵抗する僕。




そして近くには微笑ましく僕らを見守る伊作。




そして


竹谷 八左ヱ門
ほーんと、仲良いなぁ。
おほーっ、お前いい子だなぁ♩


そこで見つけた蛇を首に巻きながら、戯れる3人を眺める八左ヱ門だったのでした。


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