タタタ とゆっくりと道なりを行く背中を追いかけ、息をのみこみ、勇気を出してその名を呼ぶ。
可憐な風を纏い、振り向く君。
あーで、こうで…と、実習の内容を事細かに説明してくれる伊作。
仙蔵の完璧な不運対策によっていつもより被害が少なかったと嬉しそうに話してくれる
あまりに楽しそうに話してくれるものだから、ついそんなうれしそうな顔を見つめてしまう。
あぁ、愛おしいなぁ…。伊作は、僕のこともこんな風に話してくれることがあるのだろうか…。
えへ…と眉を八の字にしながら後頭部をさする伊作。
無意識だった…。伊作の全てが好きで、性格も、もちろん顔の造形も。顔を見れば伊作の性格を知った上での安心感と、伊作の優しい、暖かい表情についうっかり見惚れてしまう
焦って勢いつけて首を回してしまった。痛い…。
愉快な話声と共に四名の足音が噂のうどん屋さんへと近づく。
腹の虫を鳴らせている伊作と仙蔵、と、何故か八左ヱ門も腹を空かせていた。
店主のおじちゃんに4人前のおうどんを注文。
届いたそれは、いかに美味しそうな…早く食べてくれと言わんばかりの出汁の香りを漂わせ、僕らの胃袋を刺激する
「 「 「 「 いただきます !」 」 」 」
パンッと音を揃えて手を叩くと、揃いに揃って麺をすする。
美味しい。
食べ物の感想を述べるのは得意ではないが、複雑な言葉を並べなくとも、この一言に尽きるのだ。
夢中で麺をすすり、時に隣、向かいに座る連れと顔を合わせたり、時に談笑を挟んだり…
楽しいひと時を過ごした。
『 あぁ。みなさん大変美味しそうに食べてくれるもんで、作った甲斐があったってものよ。
ありがとさん』
親切な店主に手を振り、横に4人で並び、満足そうなみんなの顔を見る。
伊作は満足そうに膨れた腹をさすり、八左ヱ門は歩きながら道なりの畑の虫を目で追い、
仙蔵は…
ジッとこちらを見つめていたと思えば、こいつも僕を観察していたのだ。
どうやら、仙蔵から見ても、僕も大変満足した顔をしているらしい
仙蔵の言葉で気がついた。
八左ヱ門は僕を気遣って町に誘ってくれたのだろう、
けれど、今の言葉は心のありのままの言葉だってわかる
草むらに隠れている大きな虫をみつけ、おほーっと声を上げる八左ヱ門を見ながらそんなことを考える。
自分の本心を語る時、少し顔を俯いてしまう。
なるべく顔を見られないように、それでも目を見て話すように、オドオドと2人を交互に見ながら話を続ける
僕はどれだけ完璧な同室をもって、、どれだけ素敵な人を好きになってしまったんだ。
すこし、ほんの少し瞳が潤うのを感じる
グシッと布で目元を軽く拭い、改めてお礼を伝える。
仙蔵と白く大きな掌に頭を掴まれ、やめろと軽く抵抗する僕。
そして近くには微笑ましく僕らを見守る伊作。
そして
そこで見つけた蛇を首に巻きながら、戯れる3人を眺める八左ヱ門だったのでした。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!