『ヒーローになる気はないかい?』
何もしていないのに走った後のように喉が渇き、心臓が早鐘を打つ。
私は絞り出すような声で言った。
ただすぐにそれを否定する言葉が聞こえた。
私がそう言うとオールマイトは悲しそうな顔をした。
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オールマイトは私のその言葉を待っていたようだった。
その言葉が私に纏わり付いていた闇を吹き飛ばした気がした。
体が、心が軽くなった。
その夜2度目の悲鳴が部屋に響いた。
そう言うとオールマイトは5年前の事件について話し始めた。
弱体化したこと、個性のこと、そして…
その時、オールマイトの体から煙?湯気?みたいのが出てきた。
そう言うとオールマイトがボンッと小さな爆発?を起こした。
煙の中から現れたオールマイトは……縮んでいた─
あまりに突然で衝撃的な事に、私は思わず固まった。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。