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夢を見た
あいつの夢
夢だということの自覚がある夢
明晰夢ってやつか?
ぼろぼろのズボンの前で固く握られている両手が見える
あいつに夢中になっていると、黒く禍々しいモヤが迫ってくるのが見える
直感でそれに当たってはいけないと感じた
目の前にいるあいつの手を掴み、走り出した
何故かあいつはは足が遅い
普段は早いはずなのに
けど置いていくような真似はしない
置いていけるわけない
だが思ってるように走れない
あいつの手がだんだん重くなっていくように思える
モヤはもうそこまで迫っている
このままじゃ、
そんな時、道が開けた
一筋の光
重くなっていたあいつの手がふっと軽くなる
その道を走り抜け明るい暖かい場所に出た時、
自分の両手が空いてることに気がついた
あいつは…?
辺りを見渡すとモヤの方へ向かっていく姿が見えた
なぜだかわからなかったが涙が止まらなかった
声は届かない
俺が走り出そうとした時、
あいつが振り向いた
笑ってた
何か口を動かしたかと思うと、闇の中に消えた
するとシャットダウンされていた音が戻ってきて、どんどん意識が切り離される
夢が覚める
この夢が覚めるとあいつに会えない気がした
起きるな起きるな起きるな
この世界から俺を剥がそうとする力に抗いながらあいつを思い出した
が、
ふと思った
あいつって誰だ?
俺の意識は現実へ戻った













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!