_あなたside_
膝をついた私に5人が駆け寄ってくる
これから殺させちゃうのか、
もちろん憎い
私の人生を嘘で塗り固められたのは
許せない。
けど、
殺せない。
私には嘘の日々でも幸せだったから
やっと見つけた居場所だったから
毎日笑って、たまに喧嘩して、仲直りして、
偽りの身の私にも暖かい場所だった
だから、
嘘でも、
よかった
5人が私を囲んで見下ろす
その顔をみる勇気は、私にはなかった
師匠が私の前髪を無理やり掴んで顔をあげさせると
傷…いや、致命傷を負う4人の姿が見えた
ごぼっと口から血に塗れた闇が顔を出す
まだ残ってたのかよ
もう消えろよ
私なんか消えてしまえよ
師匠が前髪を離し、地面に叩きつけられた
もう起き上がる気力も体力も無かった
でもまだ私の闇が影に潜み、蠢いている
4人が私に手を伸ばした瞬間、それは動いた
ザクッ
影が鋭く尖り、皆の手のひらを貫いた
違う、傷つけるつもりじゃない
ただでさえ致命傷を負っているのにこれ以上はほんとにみんなが死んでしま…
その時だった
暖かい感覚がした
懐かしい
これは
私がその答えを出す前に、4人が私の背中に手を回した
あったかい
なんで、
嘘だったんでしょう
私なんてもう要らないでしょ
なんで優しくするの
頭からいっぱい血流して何言ってんの
うん、巻き込んでごめんね
痛いよ。けどルビーのほうが痛かったでしょ
…ただいま
本当は知ってた
この4人が裏切るわけないって
こいつらは散々私に着いてきてくれたのに
私は疑って傷つけて
震える声でそう口に出す
だめだな、喉が切れてるから思うように話せない
こんなにも愛をありがとう
でもね、ごめんね
もう無理だ
私の体が動かなくなっても、声が出なくても、魔力が無くなっても、
闇は蠢く
このままじゃ、また傷つけちゃう
だからね
終わりにしよう
ごめんね、
ありがとう













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!