9話読み直し推奨。
ゲーセンのガヤガヤうるさい周りの音に
負けず劣らずの音量で言い返す。
どうしてこんな事をしているのか。
それは遡ること、約3時間前___
決戦の時がやってきました。
隣の席の人に答え合わせをしてもらうため、
私の回答はいるまくんの手元、
いるまくんの回答は私の手元にある。
思ってたより高得点でビビってます。
いやでも大丈夫。私も今回はいつにも増して
気合を入れた。
絶対大丈夫よあははっ。(大フラグ)
敵の言葉なんて聞かないよ私は。
絶対に校庭で腹踊りさせるから。
裏向きにして渡された回答用紙。
心の中で思いっきり願いながら、ゆっくりと
ひっくり返した。
一旦落ち着こう。
静かに裏向きに戻した。
いるまくんの呑気な声が隣から聞こえる。
心底楽しそうな、いるまくんの声。
こいつ……
返す言葉も出てこない。
てことは私が言う事聞かなきゃいけないってこと
だよね
あぁ良かった 。
いるまくんが耳元に近づいてきたので 、
私も耳を傾ける。
デート……????
なんてことがあり 。
デートなのかは分からないけど 、
いるまくんと二人でショッピングモールに来たわけです 。
まぁ冗談で言ったボケなのでツッコまれて
嬉しいんだけど 。
二人でだべりながらゲームセンターを出る 。
前から気になってたお店。
店内は女の子が多いけど、
割とオシャレな雰囲気だからいるまくんも
入りやすいよね…?
ちらっと隣をうかがうけど、
いるまくんは特に気にした様子もなく無表情で
店内をきょろきょろ見回していた。
私の視線に気づいたいるまくんが、
怪訝そうな顔をする。
こくん、と頷くと。
いるまくんはふっと吹き出してから、
私の頭を撫でた。
そう言って優しい顔をするもんだから、
思わずドキッと胸が高鳴った。
ほんと、なんだかんだ優しい人なんだな。
そう思うと同時に、前よりいるまくんの事を
知りたいと思っていて
ほんの少しだけ、惹かれている自分がいることに
気づいた。
隣から、いるまくんが私の手元を
覗き込んできた。
試しに首元に持っていって、
いるまくんに見せてみる。
何気なく言われた"可愛い"に、
少し嬉しくなってしまったのは内緒。
ネックレス買っちゃおうかな、なんて
値段を見てみると。
ちょっとバイトしてない高校生が
手を出すには気が引けるお値段だった。
今度来た時にあったら買おう……
私はそっと、ブレスレットを元の場所に戻した。
急遽決まったデート(?)だけど。
気まずくなることも無く、
すごく楽しい時間だった。
言われなくてもいなくならないのに。
迷子になるとでも思われてんのかな、なんて
思いながら一人でスマホをいじる。
今目の前にあるお店を見て、ふと思い出した。
さっきこのお店の前を通った時に、
店頭に並んでいたクマのぬいぐるみを
ガン見していたいるまくんを。
ちょっと見てこようかな。
私はそう思い、立ち上がった。
結局買ってしまった。
ぬいぐるみを見て顔を輝かせるいるまくんを
想像して、思わず笑みがこぼれる。
いるまくんが来る前にと少し早足で、
さっきのベンチに歩いていると。
突然、見知らぬ男の人に話しかけられた。
……ナンパか。
その言い方に、少しカチンとする。
年上かよこいつ……
腕をつかまれ、振り払おうとするが、
力が強くなかなか離して貰えない。
ぐいっと腕を引かれ、そいつが歩きだす。
やばいかも……っ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。