第7話

.7
5,590
2023/09/25 14:00


いるま
……それ、本気で言ってる?
あなた
……

真剣な瞳に嘘はつけず、黙ったまま俯く。


しばらくすると、ため息をついたいるまくんが、ぼそっと一言。


いるま
……まじかよ……


……まじかよってことは、やっぱり…

あなた
……い、いるまくんって私のこと好きだったの…??

遠慮がちに聞くと、いるまくんは私を見た。

ばちっと、目が合う。


いるま
……場所変えるか
あなた
え?わっ……

いるまくんに手を引かれたまま、歩き出した。


いや気まず……?



いるま
……それで、なんでそんなこと言い出したわけ?

連れてこられたのは、花火大会の会場から少し離れた小さな公園。

私といるまくん以外おらず、貸し切り状態だった
あなた
……昨日、教室でなつくんと話してるの聞いちゃって……
いるま
……マジで言ってる…??


こくっとうなずくと、隣で大きくため息をついた。


否定しないってことは、まじなんだ……

あなた
……ほんとに、好きなの…??


いるまくんは、ぐっと言葉に詰まると、しばらく視線をさまよわせ———


ため息をついてから、私を見た。

いるま
……そうだけど。悪い?
あなた
…っ……//

目を見てはっきり言われると、さすがに照れる。

さりげなく視線をそらした。

あなた
……別に、悪くないけど
いるま
……何だよ。言いたいことあんなら言えば

むっとしたようないるまくんに促され、渋々口を開く。

あなた
……散々、冷たくされたのになぁって
いるま
……!
あなた
話しかけてもほとんど無視だし。地味に傷ついたこともあったんだからね?

最初の方はほんとにショックだったし

そこまで言って、軽く睨むと。

いるま
……それは、悪かった

きまり悪そうに、いるまくんが顔をそらした。


けど、といるまくんが顔を背けたまま続ける。

いるま
……お前が可愛すぎるのが悪い
あなた
………は、はぁっ…!?//

この人、急に何言って…!?!?

思わず声を上げる。

いるま
……っだから、お前が可愛すぎるのが悪いっつーの!//


急にふっ切れたように声を上げたいるまくん

いるま
つか大体、なんで今日そんな可愛い格好してるわけ?
あなた
は、はぁ…??//
いるま
髪型もいつもとちげーし。まじで他の奴が惚れたらどうすんだよ
いるま
自覚あんのかよまじで
いるま
頼むから自覚しろ

唐突なマシンガンに困惑が隠せない。

いるま
……そうやって顔赤くしてんのも可愛すぎるし
あなた
なっ…!!//

急に図星をつかれ、余計赤くなるのを感じる。

いるまくんはふっと微笑むと、ゆっくり顔を寄せてくる。

いるま
……何照れてんの?ほんと可愛い
あなた
~っ…!//

こんなに優しいいるまくんの表情見たことなくて。

後ずさっても、どんどん近づいてくるいるまくん。


いるま
……本当は

耳元で、甘く囁かれる。

















いるま
———誰にも見せたくない。お前のそんな可愛いとこ

吐息混じりの低音ボイスが響く。

いつのまにか、柵に追い詰められ、いるまくんとの距離が一気に近づく。


あなた
ちょッ、いるまく……!//
いるま
……悪い、俺もう


















「我慢、できねぇわ———」














いるまくんの顔が、ゆっくり近づいてくる。

耐え切れず、ぎゅっと目をつむる。


すぐ目の前にいるまくんの気配を感じた、その瞬間。




パーーーンッ!!
二人
……っ!?


二人の距離に割り込むように鳴り響いた、大きい音。

見上げれば、綺麗な花が咲いていた。


花火が始まったんだ。

あなた
き、きれい……

思わず、呟く。


いるま
……そうだな


ゆっくりと、いるまくんの身体が離れたことに、ほっと息をつく。


いるま
……何安心してんの?
あなた
へ———……


チュッ


その瞬間、可愛いリップ音とともに頬に落ちた、柔らかい感触。

それを認識した頃には、いるまくんは顔を離し


いたずらっ子のような笑みで、私を見ていた。


あなた
~~ッッ…!?!?//
いるま
ははっ……顔真っ赤、w



"ほんと可愛い"


その言葉は、花火の音に隠され、私の耳には届かなかった。




あなた
(あーっもう……!!//)












———今までと違う何かが、始まりそうです。


プリ小説オーディオドラマ