第6話

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2023/09/23 15:18


あなた
……
いるま
……



……くっそ気まずいやん何これ。

周りはガヤガヤとお祭りを楽しむ人が笑顔で歩いている中。

私といるまくんは二人で並んで歩き、無言。

あなた
(誰か助けてくれ)

なんでこんな状況になっているのか、それは遡ること数分前———





もぶ
これ全員いるかー??
もぶ
まぁ来てない奴あとで合流すればいいっしょ
もぶ
早く行こーよー

やって来ました、花火大会。

今年はクラスで行こうということになり、私も周りの子も浴衣なり何なりで凝った見た目の子も多い。

私は特に何にもないから変わってるのは髪型ぐらいだけど。

もぶ
そろそろ行くかー?
あなた
いいんじゃない?

周りをちらっと確認して、返事をする。

……良かった、いるまくんいない。


そっと、息を吐く。

なつ
んー、いるま来ねぇなぁ……

その名前が出てきて、思わずドキッとする。

眉をひそめてスマホを確認するのは、いるまくんと仲の良いなつくんだ。

あなた
来れなくなったとか、聞いてるの?
なつ
いや、聞いてない。それに、来ないわけないだろうし

来ないわけないってなんだろう。


あなた
(どんな顔で会ったらいいのかわかんないんだけど……)


はぁ……とため息をつく。

すると、男子が一人、声を上げた。


もぶ
おぉ~っ、いるま~!!こっちこっち!
あなた
……え

慌てて顔を上げると。

人混みの中にいる、私服姿のいるまくんと目が合った。

いるま
……!

いるまくんは私を見ると、大きく目を見開く。

なつ
おぉ、遅かったな
いるま
……ちょっと迷ってた

なつくんに声をかけられたいるまくんは、はっとしたように私から目をそらした。

あなた
(あぁ、気まずい……)


















いるま
『…早く惚れてくんねぇかな……』
あなた
……っ…//

昨日、偶然聞いてしまった言葉。

放課後の教室でなつくんと話していたいるまくんは、たしかにそう言った。


……私の話題で。

あなた
(そんなことある……??)

未だに信じられない。


あんだけ、冷たくされてたのに。


本人によれば、私と話すと「顔が緩みそうだから」らしいけど。


あなた
(何その理由…!?!?//)

乙女かよ!?と思いつつも、顔が熱くなる。


あーもう、今日まともにいるまくんと話せる気しな……

いるま
……あなたの名字?
あなた
はぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?!?!?!?!?!?
いるま
……??

驚いた私の声に、不意をつかれたように目をぱちくりさせるいるまくん。

いるま
……あいつら、先行ったけど
あなた
えっ!?う、うそ!?

慌てて辺りを見回すと、いるまくんの言う通りすでに見知った顔は誰もいない。

もう出店のほうに行ってしまったみたいだった。


いるまくんだけ、待っててくれたっぽい。
あなた
え、ご、ごめん、いるまくんまで置いてかれちゃった
いるま
……別に。大人数嫌いだし

つか人多すぎんだろ……とげっそりしたように言ういるまくん。

あなた
……大人数嫌いなのに、来てくれたんだ?

ふと思った疑問を、口にする。

目が合ったいるまくんは、ハッとしたように私から顔をそらす。

いるま
……なんとなくだから
あなた
そ、そっか……

そこから、沈黙。

一気に気まずさを実感する。

あなた
……と、とりあえず、屋台回る?

場を変えようと、口を開くと。

いるまくんはこくっとうなずいた。

いるま
……ん






……そして、今に至る。

屋台回ってたらクラスの子たちと合流できるかな~なんて思ってたのに

誰もおらんやんなぜ。

あなた
(……気まず)

並んで歩いたまま、本日何度目かの、小さなため息をつく。

いるま
……なぁ
あなた
…はっ、はい!?

話しかけられ、反射的に声を出す。

いるまくんの不審そうな視線が痛い。

いるま
……なんか今日、変じゃね?
あなた
へっ……

思わぬ言葉に、固まる。

挙動不審なのばれてたやん……

いるま
……なんかあった?

これは……
あなた
(無駄に心配させてるのでは……??)

いや、待ってどうしよう。

なんて言えばいいのかわからず、目を泳がす。

あなた
……い、いや、何もないよ??
いるま
嘘つけよ
あなた
うっ……
思わず言葉に詰まる。

けどさすがに本当のこと言うわけにはいかないし…!!

あなた
ほ、ほんとに何もないって!
あなた
別に、いるまくんが私のこと好きってこと知って気まずいとか思ってるとか、そんなんじゃ……
いるま
……は?
あなた
……あ


※馬鹿。





いるま
……それ、本気で言ってる?


ふっと真剣な色になったいるまくんの瞳に、嘘はつけなかった。







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