フラウィが捨て台詞を吐いて去って行った時から遡るほど、僅か数分前。
あなたとフリスクは共に花畑で例の作戦会議めいたものを執り行っている最中だった。
フリスクはあなたが作って渡した金色の花冠を被っていて、油断すると頭からずり落ちそうになるそれをせっせと元の位置に直している。
あなたはフリスクの持っていた棒切れを借りて、地面に簡単な図を描いてみせる。
描いたのは遺跡の簡易的な地図だ。
あなたたちが現在居るこの場所が遺跡の行き止まりならば、必然的に出口はただ1つ。
あなたは立ち上がった。
フリスクがあなたの服の袖をちょんと引っ張ったので、あなたは振り返る。
フリスクの手には、あなたが頭に被せてやった筈の花冠があった。
あまり気に入らなかった?、とあなたが問いかける前にフリスクが腕を伸ばし、それをあなたの頭に乗せた。
フリスクはそう言ってあなたに輝くような笑顔を向けた。
あなたは、顔に熱が集まるのを自覚して俯いた。
フリスクがあなたの顔を見ようと少し屈んで覗き込んでくる。
あなたは勢い良く後退って、フリスクを非難した。
あなたはやや乱暴に花冠をかなぐり捨てると、フリスクが残念そうにため息をついた。
あなたは手の中のそれをざっと検分する。
雑に扱ったせいで少し花がよれてしまっていて、若干心が痛んだものの、元々この花冠の製作者はあなた自身である事を思い出した。
あなたはフリスクの隣を通り抜け、金色の花畑の真ん中に進み出てそっとそれを置いた。
フリスクは少し名残惜しげに見つめていた。
トリエルの家の扉を開けると、外よりもはるかに温暖な空気が流れ出してきて、あなたたちは無意識にほっと息をついた。
思っていた以上に、この遺跡はあなたたちにとって肌寒い場所だったのだ。
地上の季節で言い表すとしたら、まさに秋の終わり頃だろう。
家の奥から、やわらかな匂いが漂ってくる。
どうやら、もう夕ご飯の支度が始まっていたらしい。
フリスクはそう言って手を差し出した。
あなたは少しだけ迷ってから、肩に掛けていた茶色いショルダーバッグ――トリエルにお下がりでもらったものだ――を外し、その手に預けた。
フリスクはバッグを抱え、慣れた様子で廊下を進んで行く。
あなたはその背中をちらりと一瞬だけ見送ってから、キッチンへと足を向けた。
トリエルは鍋の前に立ち、木べらでその中身をゆっくりとかき混ぜていた。
あなたの気配にすぐに気付いたトリエルは振り返って微笑んでみせる。
あなたは小さく息を吐いてから、少し迷うように口を開く。
トリエルは一瞬きょとんとした顔をして、それから嬉しそうに目を細めた。
トリエルに差し出された木べらを受け取り、あなたは鍋の前に立つ。
底からすくうようにして混ぜると、野菜の欠片がほんのり顔を出しては、また沈んでいく。
湯気と一緒に、優しい匂いが立ちのぼった。
あなたと場所を交代した彼女は、冷蔵庫の上にある、いくつものバゲットが入ったバスケットを取ったかと思うと、再びあなたの傍に立った。
あなたの傍らでシチューに調味料を少しずつ加えて味を整えていたトリエルが、ふと満足そうに頷いてみせた。
そして、トリエルは戸棚からもう一本、小さなスプーンを取り出してシチューを一口分だけすくう。
念入りに息を吹きかけて冷ましたそれを、彼女はあなたの口元に差し出した。
あなたは少しだけ躊躇ってから、口を開けると、すかさずトリエルはそこにスプーンを突っ込んだ。
柔らかいような優しい味に、自然と頬が緩んだあなたは、そわそわとあなたの感想を待っているトリエルに返答した。
そこで、フリスクが駆け足でキッチンに向かって来る足音が聞こえた。
あなたとトリエルが振り返ると、足音の主はすぐにリビングからひょっこりと顔を覗かせた。
バスケットをテーブルに置いてきたフリスクは、すぐにキッチンに戻って来た。
それからあなたとフリスクの2人で、もう一度シチューを味見している間に、トリエルは手際よく鍋から皿へとシチューをよそい終えていた。
両手をぴったりと合わせたあなたは、テーブルの向こうで同じポーズを取っている2人に目で軽く合図をする。
フリスクが皿を下げに行くのに倣って、あなたも自分の皿を片手についていく。
あなたとフリスクは頷いて、キッチンから立ち去った。
リビングに出て、あなたとフリスクはどちらからともなく、互いの顔を見合わせる。
フリスクが廊下の方へ行こうと目配せするので、あなたは頷いて、あとに続いて行った。
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2026/01/22/22:57.00












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。