第7話

5.きっかけ。
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2025/04/05 13:04 更新
少し直しました🙇




翌日、朝から裏庭に行って猫に会いに行った。

準備室、行ってみようかなとも思ったけど、今日は眠たかったから裏庭行ったら屋上ですぐ寝ようと思って、とりあえずまた今度行くことにした。
jr
おーい来たぞ〜
定位置の花壇の隅っこにうずくまっている黒い塊。
その側にしゃがんで俺が声をかけると、
もぞもぞと動き出して歩み寄ってくれる。
jr
ごめんなぁ、最近来れなくて。
jr
元気?
頭を撫で始めると、ゴロゴロと喉を鳴らして喜ぶ。
元気そうだな
jr
ふふ、笑
かわいい

こいつは最初は全然懐いてもらえなかったけど、今ではすっかりお腹を見せて寝てくれるほどになった。

しばらくそうして愛撫していると、
突然黒い三角の耳がピクリと反応した。

何かあるのかと辺りを見渡してみると、学校の近くの横断歩道を保育士さんと幼稚園生達が渡って来るところだった。

あまり見ない光景だからか、興味津々にそちらに顔を向けている。
jr
可愛いなぁー…
jr
…俺も弟とか妹欲しかったなぁ…
※一人っ子設定です
jr
…そういえばさ、お前も家族とかいんの?
またも、ニャーと応えてくれる。
jr
そっかぁ、そりゃそうか。
jr
…ちゃんと、愛されてる、?
突如された俺の質問には無反応。それより撫でて、と言いたげに俺の手に擦り寄ってくる。
jr
ごめんごめん、笑
分かんないよな。
顔を覗き込むようにして言うと、
少し青みがかったその目をぱちぱちさせる。
それが宝石みたいにキラキラして見えた。
hk
くーん、田中くーん
jr
ん…?
どこからか声がしたと思い呼ばれた方に目を向ければ、準備室の窓から小さく手を振るアイツの姿があった。

そっか。準備室から裏庭見えるって言ってたもんな。

するとアイツは裏庭に繋がる扉を開けて外に出てくる。そしてスタスタと俺の方に向かって歩いて来た。
hk
何してるんですか?
jr
猫に会いに来た
hk
あ、この子なんですね。
jr
うん。多分野良猫
hk
へぇ…可愛い。
すると先生は猫の側にしゃがんで、顔を覗き込む。
hk
なんて呼んでるんですか?
そう聞かれて気づいた。
俺こいつに名前付けてない。
jr
あ、…名前付けてないや。
hk
ぁ、そうなんですか?
jr
うん。でも付けようかな、今。
hk
名前、あった方が嬉しいと思います。
そうは言っても、名付けなんてしたことないし、
すぐにはいい名前が思いつかない。
呼びやすい方がいいよなぁ…どうしよ。

…あ、そうだ。
jr
俺いいの思いつかないから、代わりにせんせーがつけてみて
hk
ぁ、え?僕ですか?
jr
うん。呼びやすいやつで。
hk
んー、と、…
言った途端に先生の動きがピタッと止まって、思考フル回転させてるのが分かる。突然の無茶振りで内心焦ってんだろうなと思うと、健気に考えてる先生が面白かった。
hk
……クロ、とか。
jr
クロ?
hk
クロ
jr
え、黒猫だから?
hk
そうです。
あまりにも理由が単純過ぎて笑ってしまった。
クロ…まぁでも呼びやすいし覚えやすいしいっか。
jr
ふふ、笑
いいね、クロ。クロにしよ。
jr
クロー、お前は今日からクロだぞ
頭を撫でながら教えてあげると、
ニャーと大きく口を開けて答えてくれた。
jr
気に入ったって
hk
…猫の言葉分かんないです。
jr
俺も分かんないよ。なんとなく。
俺が答えると、先生はクロに手を伸ばしてそっと触れた。
最初俺が触った時は警戒しまくってたのに、
先生が触ると目を細めて気持ちよさそうにしていた。


俺はその日から、
なんとなく毎日のように準備室に通うようになった。

相変わらず先生は無愛想だしあんま笑ったりしないけど、他の人とは違う優しい包容力があると思う。

なぜか安心できる、俺にとって先生はそんな存在になっていった。

そして今後、俺にとっての先生がこの時よりももっと特別で、大切な存在になることをこの時の俺はまだ知らない。




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