第6話

4.屋上、2人きり。
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2025/04/02 13:54 更新





今日は朝から眠り始めて、昼頃に目が覚めた。
当然まだ授業中だから周りは静か。

屋上からちょうど見える3階の教室。
目を凝らしてこーちたちがいないか探してみるけど、目の悪い俺には無理そう。

ぐーっと大きく伸びをして、固まった体をほぐす。
視界には1人の人の後ろ姿と広い空が映っている。

んー、今日はやることないし裏庭にでも行こうかなぁ…

…ん?待って、人の後ろ姿…??
jr
…うぉおっ、?!
jr
え、なんで?
hk
…あ、田中くん。
hk
起きたんですね。
フェンスにもたれながら校庭を眺めてた後ろ姿。
見覚えのあるその姿はあの担任。

さも当然かのように喋りかけるけど、
俺の頭の中はハテナマークでいっぱいだった。

なんでこいつがここに…?
hk
なんでお前がここにいるんだって顔してますね。
jr
……
hk
僕ちょうど今の時間授業入ってないので、田中くんとお話しに来たんですよ。
jr
…お話しに来た…?
hk
主任の先生に言われたんです。「田中くんとコミュニケーションとって」って。
hk
担任なんだから寄り添ってとでも言いたかったんですかね?
jr
…何が言いたいの?
hk
コミュニケーションとりにきました。
hk
隣座りますね
なんだなんだコイツ…

勢いよく距離(?)を詰めてきて、
なんか思ってたキャラと違う。

先生っぽくないっていうか、冷静っていうか、冷たいっていうか、クール過ぎっていうか…
hk
いつもなにして過ごしてるんですか?
jr
え?
hk
いつも屋上で何してるんですか?
頭の中でぐるぐる考えていると、
とりあえずとでも言うようにされた質問。

普段の俺ならスルーするけど、なんか面白そうだし、
とりあえず話してみることにした。
jr
寝てる
hk
へぇ、朝からずっと寝て過ごしてるんですか?
jr
まぁ…たまにそこら辺ブラブラしたり、
hk
ふーん…
おい、自分から聞いといてそんな興味なさそうにすんな。
hk
…あ、たまに裏庭来てませんか?
jr
あ、…うん。行ってる。
hk
ちょうど準備室から見えるんですよ。
hk
あれやっぱ田中くんなんですねぇ
裏庭、というのはこの学校にある小さな庭のことで、使われていない花壇があったり、池があったり、雑草が生えてたりする。

そんな普通の庭に俺がいつも行く理由は、
毎回同じ時間に現れる野良猫に会いに行くためだった。
hk
何しに行ってるんですか?
jr
猫、いるから。
hk
猫?
jr
猫に会いにいってる。野良猫。
hk
へー…猫に…。
案外可愛いとこあるんですね
jr
え、?
今サラッと可愛いって言った…?

顔が真顔過ぎて全然褒められた感じしないけど…笑



それからは、授業が終わるチャイムが鳴るまでいろいろ話した。

大体向こうが「好きな食べ物は?」とか「趣味は?」とか典型的な質問してきてそれに一言答える感じだけど。

相変わらずこいつはなんて返しても反応は薄いけど、
過剰に反応しないのがなんか逆に過ごしやすかった。

今までの大人たちは、気遣ってるのが丸分かりでかえってやりずらかったし、イラついたし。

その分、程よく冷たいこいつの対応が心地良かった。
hk
じゃあ僕そろそろ行きますね。いっぱいコミュニケーションとれたので。
jr
あぁ、うん。
こういうのをポロッと言っちゃうのも面白いし。
hk
…あ、そうだ。言うの忘れてました。
hk
よければ準備室来ます?
jr
準備室?
hk
理科準備室
jr
なんで?
hk
冬は寒いし、夏は暑いし、雨降るし、ここいても退屈じゃないですか?
hk
…あと、準備室なら裏庭すぐ行けるし。
jr
あー…まぁ
hk
担任なので、なんか対応はしないと主任の先生とかに言われちゃうんですよ。
jr
…だからわざわざ?
hk
そうです。
hk
言われ過ぎて面倒くさくなったので来ました。
jr
んは、笑
なにそれ
hk
まぁとにかく。準備室、来たかったらいつでも来てください。
hk
授業とかあるときはいないかもしれないですけど、鍵は開けておくので。
jr
わかった、
屋上は気に入ってるけど、先生言う通り、雨は降るし寒いし暑い。準備室なら猫にもすぐ会えるし…
jr
…考えとく
hk
わかりました。
特に何を言うでもなく颯爽と帰っていく。
想定外の訪問者だったけど、意外と楽しかったかも。

ちょっと見る目が変わって、次に会えるのが楽しみになってきた。





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