そして、次の日の朝。私はママの声じゃなくて、携帯の振動で目が覚めた。
気持ちの良い眠りを邪魔されたことに少し機嫌を悪くしつつ、電話先の名前を確認する。
「クリス・コロンバス...?誰これ、」
怪しみながら電話に出る。
「もしもし...?」
すると鼓膜をつんざくような慌てた声が聞こえた。
『あ!繋がりました!!!』
「?」
驚いて固まっていると
『あ、ごめんごめん!チョウチャン役の子だよね?今日実は撮影初日なんだけど伝わってなかった子が数人いて』
そう言うと雑音が混じり聞き取りづらくなった。
『~~~だから、急いで来て!!』
とだけ言ってプツンと切れてしまった。
えぇ、どうしよ
そのとき私の部屋のドアが開いて見るからに不機嫌そうな兄が睨みをきかしてきた。
あ!
すると兄は驚いて目を丸くしたと思うと、
事情を説明して急いでヘルメットを被り猛スピードでバイクを飛ばしてもらう。
そんな会話をしていたら一段と人が多い場所に辿り着いた。
_____きてくれるって言ってた。
そう言おうとしたら奥の建物から続々と同い年くらいの子供たちとスタッフさんらしき人たちがたくさん出てきて、あっという間にバイクを取り囲んでしまった。
電話と同じ声のスタッフさんが私に挨拶したかと思えば言葉を詰まらせていた。
あ、ヘルメット被ってるから誰かわからないのか。
急いでヘルメットを取り、バイクから飛び降りてスタッフさんを見つめる。
20半ばくらいだろう。若くて元気がありそうな雰囲気だった。
そしたらスタッフさんはまたしても言葉を詰まらせていた。
そして隣の同僚らしき人を肘でつつき、何やらボソボソ話し始めた。
「おいこんな美人が来るなんて聞いてねえぞ」
「遅れてバイクで登場とかありかよ」
よく聞こえない。
そして取り残されたお兄ちゃんはと言うと、
「お兄さんかっこいい!」
「何の役するんですかー?」
など子役の女の子たちに囲まれてニヤついていた。
私が呆れてため息をついているとスタッフが慌てたように
自己紹介かーーー緊張する。
深呼吸をして子役たちの前に立つ。
そしてにっこりと微笑む。
そう、お風呂で誰にも聴かれずに熱唱することが大好きなんです。
ウケ悪いかな、、なんて思ってると
「え俺も好きー!」
「てか美人」
「親近感湧いた」
などという声が聞こえてくる。
そして次の人の自己紹介に移っていく。
「ロン役のルパートグリントです。今度お風呂で歌ってみようと思います。」
「おいルパートやめろよ笑」
そういって笑った男の子と目が合った。
すると少し目を見開いて言った。
言い終わった後もチラチラこっちを見てくる。
理由が気になって、もう一度見ようとしたら顔を逸らされてしまった。
その後もセドリック役、ドラコ役、ジニー役など色々な子達があいさつをしていって長い初日が終わった。
家に着いても生活はいつものようにご飯を食べて、お風呂に入って、家族におやすみと言う。
みんな、どんな子なのかなぁ
そんなことを考えて眠りについた。















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!