1年後ーーーーーー地獄。
ワーーーーーー!!!
パチパチパチパチパチ!!!
ああ、さすが地獄だけあっていろいろあるのね。もう法律とか倫理とかクソ無視でヤバイものが次々競り落とされていくわ。
………でも、あのインプの奴隷はかわいそう。
まだ、子どもじゃないの。
おおおおおおおおおお!!!!
スポットライトがまぶしいなあ…。
花で飾られた檻の中に、お姫様よろしく囚われている私の姿に、オークション客は大興奮。
うわー……すごい。見たことのない額になってる。
オークションは白熱し、私にはすごい値段が付けられた。
そろそろかな?
私は魔力で手の中にマイクステッキを出した。
アラスターとお揃いのデザインだけど、リボンやハートのついた可愛いデザインだ。
マイクに声を乗せ、檻の中で優雅に一礼してみせる。
どおおおおおおおおおおおん!!!!
壁をぶち破って現れたアラスターは、悠然とオークションを蹂躙した。
触手が会場を破壊しつくし、スタッフやオークション客の悲鳴が響く。
その隙に、私は影になって檻の隙間から逃げ出した。
バサッ!
ぞろぞろと迫る敵の前に、赤い翼を広げてハスクが立ちふさがる。
その両手に手品のようにトランプが現れ、それは鋭い刃物のように投げつけられた。
さらに、ダイスを手の中で転がし、投げるとそれは爆薬となって敵を吹き飛ばした。
もう会場は大パニック!
後はこの混乱に紛れて逃げるだけ……。
と、さっき奴隷として競り落とされたインプの子どもが、無理矢理に連れて行かれそうになっている。
どこからか現れたニフティは、巨大な縫い針でオーナーを突き刺した。
楽しそうに何度も何度も針を突き刺すニフティ。
その隙に、私はインプの子どもを逃がした。
インプの子どもを見送ると、アラスターがとうとうこのオークション会場の全てを破壊したところだった。
ガラガラガラガラガラ!!!
崩落の音と共に、私たちはアラスターの魔法で屋外に移動したのだった。
私はすっかりいい気分で、カクテルを乾杯した。
本日の打ち上げは町中にあるとあるクラブ。
私、アラスター、ニフティ、ハスクの四人で一つのテーブルをかこみ、軽食や飲み物を楽しんでいる。
お酒は二十歳になってから? ここは地獄だも~ん♪
ニフティもニッコニコでお菓子を食べている。私はなでなでとニフティの頭を撫でた。
しかし、肝心のアラスターは、さっきから何やら考え込んでブツブツと呟いている。
と、その時だ。
店の中にあった大きなテレビ画面にニュース番組が映っている。
テレビ画面には、長い金髪の、赤いタキシードの女の子が熱弁している。
その後、なぜかその子は急に歌い出し、まるでミュージカルのように踊り出した。
罪人の魂を救済し、贖罪によって魂を天国へ送ることで、地獄の人口過密問題を平和的に解決しようという計画ーーーー。
その名を《ハッピーホテル》。
地獄のプリンセス。チャーリーの大計画………。
私は目をキラキラさせてすっかり見入っていた。
周囲は嘲笑に包まれていた。悪魔たちは罪人の堕ちた魂……みんなチャーリーの理想を馬鹿にして笑っている。
でも、私はすっかりその理想に心を奪われていた。
だって、地獄だよ?
周りはみんな悪魔。
悪に染まった堕ちた魂ばかり………。
それを、やり直すチャンスはあると信じて……このチャーリーってお姫様、すごい!!!
私は興奮して、アラスターにだきついた。
私は確信した。
絶対に面白い!
このホテルに行き、チャーリーに会えばきっと、思いもよらないすごいことが起きる!
アラスターが私の頭を撫でる。
フフッ、アラスターもこのホテルに興味を持ったみたい。
ハスクが顔をしかめてグビグビ酒ビンをあおる。
ニフティが手をヒラヒラ振る。
私とアラスターは、二人でクラブを出た。
さっきのニュースによると《ハッピーホテル》は、この街はずれの丘にあるらしい。
私とアラスターは、まっすぐにその道を歩いていく。
ニコッと微笑んでアラスターは言った。
もうすっかり遠い昔みたいだ。
人間として生きてきた十数年よりも、地獄で過ごしたこの一年のほうが、私にすっかり馴染んでいた。
そうしている間に、ホテルのエントランスが見えてきた。
赤い悪魔と手を取り合って。
私たちはホテルのドアをノックした。
そして始まる。
最高のエンターテイメントが。
完













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。