第28話

【番外編】ニフティの日記 Part5
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2024/05/19 21:00 更新
う~…マズイわ! 囲まれちゃった!
あたしはともかく、あなたのカタカナで名前が危ないわ!
ニフティ(人型)
……………ねえ、あなたのカタカナで名前?
本当に殺すのダメ?
あなた
ダメ!
う~………どうしよう。

困っていたら、イケメンくんが助けに来てくれた。
ちゃんと見て確認したけど、イケメンくんには《糸》がついてない!
ニフティ(人型)
イケメンくん! 受け取って!
あたしはあなたのカタカナで名前を放り投げた。イケメンくんはあなたのカタカナで名前の手を引いて走り去る。
ニフティ(人型)
うふふふふふふふ………………。
アーーーーハハハハハハハハ!!!
あなたのカタカナで名前がいなければこっちのものよ!
あたしは悪魔の姿に戻り、片手に包丁、片手に針をかまえる。
ニフティ
殺すのはダメだけど、ちょっぴり痛めつけるくらいはいいよね?
ここから先は通さないんだから!
と、その時だった。
バタバタバタバタ!!!
突然に《糸》が切れて。
操られていた人間たちが一斉に倒れた。
ニフティ
…………?
つんつん、と近くの人間をつつく。
生きてる。気絶してるだけみたい。
ニフティ
これって……
彼らを操るコッペリウスの魔力が消えた。
……ってことは。
アラスター
やあ、待たせたね。
空間に魔法陣が現れて、アラスターとハスクが出てきたわ。
よかった! 二人ともケガもなく無事みたい。
ニフティ
アル! ハスク! 
コッペリウスは?
アルが影から何かを引っ張り出して、ゴロンと地面の上に転がした。
奇怪な「人形」を思わせる頭部……これが《マリオネットデーモン》コッペリウス……もう頭しか残ってないけど。
アラスター
奴の断末魔は地獄中に放送した。
もう誰も私のあなたのカタカナで名前に手を出そうという者はいないだろう。
よかった! これでもうあなたのカタカナで名前は安全だわ!
アラスター
ああ……クソッ! こいつのせいで……
あなたのカタカナで名前との約束を破るはめに………。
ラジオデーモン
せっかくのデートが!
可愛いユカタ姿のあなたのカタカナで名前が!!
二人きりの花火があああああ!!!
よほど悔しかったのか、アラスターはさらにコッペリウスの頭部を何度も何度も踏みつけた。
粉々になったコッペリウスは、そのまま跡形もなく消滅した。なんとも無惨な上級悪魔の最期だった。
ニフティ
まだ間に合うかもしれないわ!
ほら! 花火終わってない!
あたしは夜空を指差した。
もうかなり終盤とはいえ、まだパンパン花火が打ち上がっている。
アラスター
急ごう! あなたのカタカナで名前はどこだ!?
ニフティ
あっち!
ハスク
あ! おい、なんで俺様まで……
あたしはあなたのカタカナで名前の走って行った方向に駆け出し、アラスターがハスクの腕を引いて追いかける。

運良く、すぐにあなたのカタカナで名前は見つかったわ。あの後ろ姿、間違いない。
アラスター
My Dear………
声をかけようとして、アラスターは凍りついた。
ニフティ
Oh my gosh!
そうだ。忘れてたけど、イケメンくんが一緒だった。
二人はまるで青春映画のワンシーンみたいな素敵な絵面で、空に輝く花火を見つめている。
手までしっかり握っちゃって………。
見知らぬ人が見れば、まさに恋人同士。
超お似合い青春カップル。
メチャクチャいいムード。
ラジオデーモン
………あの若造…誰の女だと思って……
ハスク
まだお前の女じゃねえだろ。
ニフティ
アル! 静かに!
ノイズを発し始めたアラスターをあたしとハスクが押さえ込み、三人そろって近くの茂みの影に身を潜めた。
アラスター
…………なぜ私が隠れねばならない?
ハスク
シ! 黙って見てろ。
ニフティ
二人とも何話してるのかしら?
距離があるのと、花火がドンパン響いているせいで、二人の会話は聞こえない。アラスターがマイクに魔法をかけると、マイクを通してあなたのカタカナで名前とイケメンくんの会話が聞こえてきた。
在原 昴
あなたの名字さん………。
在原 昴
昨日の告白の返事………
聞かせてくれる?
ワアアアアアオ! 一番いいシーンだわ!

あなたのカタカナで名前はアラスターと結ばれてほしいけど、これはこれでキュンキュンしちゃう♥️

ドキドキドキドキ! どう答えるのあなたのカタカナで名前?
あなた
うん
あなた
私は
もはや、あたしだけじゃなく、アラスターもハスクも息をする音すら潜め、聴覚に神経を集中させている。
あなた
私はーーーー
あなたのカタカナで名前は思い悩んでいるようだった。

あ゛ーーーーーーっ!
このジレジレがたまらない!!!
あなた
私は……在原くんとは付き合えない。ごめん……。
ハスクが顔をしかめて舌打ちし、アラスターの笑みが耳まで裂けた。
在原 昴
もしかして…他に好きな人がいる?
ちょ……! イケメンくん!? 
ここでそれ言っちゃう!??
在原 昴
例えば……アラスター先生とか。
ギャアアアアアアアアア!!!

もう限界!!!

興奮のあまり泡吹いちゃう!!!
在原 昴
あなたの名字さんは
アラスター先生が好きなの?
あなた
違うよ!
ガガーーーーンッ!!!
ああ!! アルが見たことのない表情に!?

土気色の肌が青く染まってすごく不気味だわ!
あなた
そうじゃなくて、その………。
とても大事な“約束”があるの。
あなたのカタカナで名前の言葉に、アラスターは再び正気を取り戻した。
あなた
その“約束”に決着がつくまで、
私は誰とも恋はできない。
あなたのカタカナで名前……あたし、感動しちゃった♥️

こんなイケメンにマジ告白されてもなお、アラスターとの《契約》を選んでくれるなんて………。
うるうる👁️

その後、ふられたイケメンくんはその場を立ち去った。ちょうど、最後の花火が大きく空に散った。

なぜか、花火が終わった後も、あなたのカタカナで名前はその場を動かずにぼんやりと空を眺めていた。
ニフティ
キャー♥️ 聞いた聞いた?
あなたのカタカナで名前ったら♥️♥️♥️
ハスク
おい、どーすんだアル!
お前のせいでお嬢ちゃんの人生
メチャクチャじゃねえか!
カチーン💢
ニフティ
ちょっとハスク! 
なんでそういうこと言うの!
ハスク
じゃ、聞くが
ハスク
あの誠実なイケメンと、
このクソラジオ。
ハスク
どっちがお嬢ちゃんを幸せにできると思う?
ニフティ
それを決めるのはあなたのカタカナで名前でしょーーー!
ちょっと! アルからも何か言ってやってよ!
プンスカプンスカとアルを振り向くと……
あらあら?

ラジオデーモンともあろう男が、頭を抱えている?
アラスター
ハスカー……ニフティ……。
私はどうすればいいのだろう?
わからない…こんなことは初めてだ。
ニフティ
え? ちょっと、
ナニ言ってるかわかんない。
エンターテイメントでしょ?
あなたのカタカナで名前のこと好きなんでしょ?
鹿耳がペシャッとなっていて……いつになくアラスターが小さく見える。
アラスター
無論、エンターテイメントを捨てる
つもりはない。彼女は私の《契約者》
であり、私の退屈を埋めるための
エンターテイナーだ。
アラスター
全く冴えない卑屈な小娘を、
私の手で磨き上げていくのは
本当に楽しかった。
アラスター
……………だが………だが……
アラスターはかなり混乱している様子で、頭を振った。
アラスター
わからない…こんな感情は初めてだ。
彼女がまぶしくてたまらない。
アラスター
自分だけのものにして、魂を奪って
しまえば、…その輝きを失ってしまう
気がする。
アラスター
私は……私は…本当にどうかしている。
アラスター
《契約》よりも
アラスター
エンターテイメントよりも
アラスター
比べ物にならないほどに
あなたのカタカナで名前は大切なのだ!
ア…アル! あたし……感動しちゃった。
アラスター
ハスカー…キミの言うとおりだった。
愛など軽々しく《契約》に持ち込む
べきではなかった。
ハスク
わかったんなら、もうお嬢ちゃんを自由にしてやれ。《契約》を破棄ーーー
ニフティ
ダメ! 絶対にダメ!
ダメダメダメダメ!!!
あたしは猛烈に抗議した。
ニフティ
《契約》を完了させればなんの問題もないよ! アルもあなたのカタカナで名前もお互い好き同士なんだから!
アラスター
しかし……さっき彼女は、はっきりと………
ハスク
言ったな。『違う』と
ハスクの無慈悲な言葉に、アラスターはどこからかハンカチを取り出してさめざめと泣き出した。

あ、あたしピンチ! 絶体絶命のピンチ!
このままじゃアルはあなたのカタカナで名前のことあきらめちゃう!
ハスク
なあ相棒。人間と悪魔の恋なんて
うまく行きっこねえんだ。
ニフティ
アル! あなたのカタカナで名前を信じて!
悪魔の囁きに耳を傾けないで!
ハスク
ニフ、お前みたいなチビっ子に、
男と女の何がわかるんだ?
ニフティ
飲んだくれマタタビおじさんに
乙女心の何がわかるって?
バチバチバチバチッ!!!

あたしとハスクの間に火花が散ったけど、友だちの恋がかかってるのよ! 絶対に引かないわ!

あたしは瞬時に判断した。
あたしが「説得」するべきはこのヘタレラジオじゃない。
この賢い老いぼれバーテンダーだわ!
ニフティ
ねえ……ハスク………
ニフティ
あたしと“勝負”しましょう?
ハスク
なんだと?
あたしは単眼をギラリと光らせた。
ニフティ
もうこうなったら、白黒つけられるのはあなたのカタカナで名前しかいないわ。
ニフティ
あなたのカタカナで名前の気持ちを知れば、アルだって覚悟を決めるでしょう。
ハスク
ほう? 面白い。
なら……《ギャンブル》がいい。
どこからか手品のようにトランプを取り出すハスク。華麗にシャッフルしながら、目だけはギラギラと光らせる。
ハスク
人間の本性はギャンブルに現れる。
ハスク
欲望、覚悟、勇気、堕落、運命……
追い詰められた人間は、自分の魂に
嘘がつけねえ。
ハスク
お嬢ちゃんの本音を聞き出すには持って来いだ。
ハスク
それで? お嬢ちゃんに何を
賭けさせるつもりだ?
あたしはニヤリと笑った。
ニフティ
《契約書》を賭けるの。
ニフティ
わざとあなたのカタカナで名前を追い詰めて
『契約から逃げるか? アラスターと運命を共にするか?』を選ばせるの。
ハスク
はあ? そんなもん賭けに
ならねえだろ?
ハスク
《契約》からの解放?
逃げるに決まってる。
ハスク
俺様なら、この《契約》から自由に
なれるならなんでもするぜ。
ニフティ
はああああん? ハスクゥ?
負けるのが怖いんだ?
安全な賭けしかしないタイプぅ?
ピキッ💢
ハスク
ハハハ、おもしれえ……俺様を誰だと思ってんだ?
ハスク
いいだろう。俺様が最高の
イカサマゲームを用意してやる!
ハスク
俺様が勝ったら《契約》を破棄して
地獄に戻るんだぜ? これ以上
お嬢ちゃんにも接触なしだ。
ニフティ
あたしが勝ったらあなたのカタカナで名前とアルの愛を認め、祝福してよね!
再びバチバチバチバチ!!!
アラスター
……………なぜ私を置いて話を進める?
あなたのカタカナで名前、あなたの愛と絆は本物だって信じてるからね!
さあ、「Alastor's Game」の開幕よ!


続く

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