私はマイクを下ろして、連絡をとった。
そしてさとみを呼んだ。
照明に向かっていたのがさとみだから、
もしかしたら何か考えがあって、
照明を落としたのかもしれない。
そう思った。
確かに、音も消えたとなると、
この会場自体の電源が落ちたんだ…
でも、そんなことじゃない…
私は暗いのが…苦手なんだ…
流石に、香恋が生まれたのと、時間経過で、
多少は克服したけど、
やはり苦手ではある…
でもまぁ、幸いなことに、
中央ステージに、
メンバー全員が集まってたから、
廉も近くに居るし、まだ大丈夫だ。
頭をフル回転させて、
今この状況を理解して、
何が狙いなのか考えなきゃいけないけど、
どうにも頭が回らない…
ファンの方々もザワつき始め、
各々がスマホのライトをつけたり、
ペンライトを付けたりしていたが…
バンッ💥💥💥
という大きな爆発音と共に、
電気は回復し、会場がまたも静まり返った。
マイクで喋る女…
小さな爆弾を、
自分の前の通路に投げて爆発させた…
そして何よりも、さとみは、
“照明は全員居る”
そう言った。
ということは…
コイツは舞台セットのスタッフ…
というよりも…
そう思ったのもつかの間、
その女は、自分から名前を言った。
竹本 真莉愛…
この女は…
その時、前列の方に居た、
1人のファンが叫んだ。
一体どこまで聞こえてたのか、
分からないが、随分、ファンと
キンプリメンバー、そして武楽メンバーが、
一致団結していたw
そう、この女は、
廉にキスをし、私達2人の間に、
大きくヒビが入った原因の奴。
そして、私の唯一の因縁の相手でもある…
(恋愛の)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!