リボンを渡したあと僕はリビングに戻った.
することがなくなった僕は部屋の中を意味もなく歩く
暇だ.とてつもなく暇だ.
そうだ.散歩に行こう.
部屋のまま外には行けないからパーカーとズボンに着替えた.
だれかに会う予定はないからこれでいい
外に出ると激しい日差しが僕を覆いかかった.
"んーーー"と背中を伸ばす
やっぱり夏の散歩は気持ちいい
汗が額にだらだらと出始めるけどそれがまたいい
キギキギキギキィィィィ!!!
いやな音が響き渡る
僕は気持ちよく歩いていたと言うのに.不満を抱きながらどこから聞こえるのか探す
気づいたときには遅かった.
僕の目の前に大型トラックが走ってきた
ドン!!!!!!!
その日を境に、僕は車に轢かれ、命は途絶えた
人間死んだあと天国か地獄に行くと思っていたが違うらしい
僕は"扉の案内人"となった
複数人の人間を案内してたときふと1人の人間に目が止まった.
それが闇だった
僕があげた黒いリボンをつけていたからすぐにわかった.
闇は黒い顔をしたまま学校に向かっている.
学校についた途端、僕は全てを知った.
クラスのみんなから根暗と呼ばれていること.
机の上に花の花瓶が置いてあったこと.
だれも相手にしてくれないこと.
闇が変わったのはいじめを受けていたからだろうか.
そう考えると明日納得してしまった.
僕は闇がこの扉にこないことを願った.
だがきてしまった.
僕は苦しくなりながらも闇を案内した.
そして一番選んでほしくない選択を闇はしてしまった.
僕はこれからの闇の生活を見ることができる.
闇は幸せそうに暮らしている.
だけど、僕のことは覚えていない.
僕が扉の先に行って再会しても"記憶を消す"と選択してしまった以上、僕のことを思い出すことはできない.
それが酷く苦しかった.
一瞬だけでもいいから思い出して欲しかった.
僕の願いは叶わず闇とお別れをした.
完











編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。