その後は何問かの質疑応答を終え、ようやく彼自身の状況を把握することができた。しかしそこには幾つかの問題が浮上していた。にわかに信じがたい事実ばかり彼は述べたのだ。
何とか現状に追いつかない頭を整理しようと、イデアくんから聞いた情報を一気にまとめる。……うん、だめだ。情報量が多すぎるし非現実的なことばかりだ。そもそも魔法が使えるって何? 二次元だけの世界のはなしじゃないのそれ?
ツイステッドワンダーランドなんて横文字ばかりの名前の世界も聞いたことないし、彼の出身の嘆きの島とやらも地理の教科書ですら見たことがない。でも、さっき実際に何もないところから水とか炎とか出してたし……それに彼の髪が燃えているのもこのことが全て本当なら辻褄が合う。
俗に言う『異世界なのでなんでもありなんです』というお決まり展開な訳だ。……やっぱ理解できない。一回思考停止させよう。私が急に一点を見つめてフリーズし出したのを心配してくれたのか、イデアくんは私の体をつついて「お姉さん大丈夫……?」と可愛らしい声で呼びかけてくれた。もうここまで来たら異世界ってなんだよとかもうどうでもいい。兎に角この天使を守ることだけが私の使命な気がしてきた。
そう言うとイデアくんは大きな瞳を少し潤わせ、不安そうな表情でこちらを見つめてきた。あーもう、なんでこの子は一つ一つの表情があざといかな……こんなの放って置ける訳ないでしょ。取り敢えずしばらくの間この子を保護することは決定事項だが、もう夜も遅いので明日からのことを明確に決めないといけない。
先程までは警察と児相にこの子を任せようと考えていたが、彼から聞いた話を踏まえるとだいぶ事情が変わってくる。まずこの見た目。この年齢で青髪黄色目の男の子なんて親が余程の人じゃない限りそうそういない。 さらに言えば彼は『髪が燃えている』。この事象はまず地球の常識で言えば絶対にありえないことだ。今日は彼がこちらの世界来たのが夜遅くだったのが功を奏し、一般人で彼の姿を捉えたのはほんの一部だったからまだ良かった。
考えてもみろ、白昼堂々この子を外なんかに連れ出せば即格好の的。警察に連れていくなんてすれば海外の実験施設に強制送還、なんてこともありえるかもしれない。つまりイデアくんが元の世界に帰るまで、不用意に彼を外に連れ出すなんてことは出来ない。
……そうなれば残る結論はただ一つ。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!