通話口から聞こえる声と、目の前に座る先輩を睨む
乙骨は全て話した
自分の知っていることを、答え合わせかのように
悟の前で“あなたの下の名前の言葉”で話したのだ
そんなことなど、七海にとってはどうでも良くて
ただ、あなたの下の名前の過去が自分の想像より重いものだったことに驚いていた
少しの会話をし電話を切ったあと、悟は静かに立ち上がった
悟はその日の夜、天音へと向かった
メカ丸の姿が消えた
連絡を受けとるその時まで、私は呪霊を祓っていた
10月30日
19時00分
私と伊地知さんを乗せた車は
静かに、そして速く
進んでいた
一枚の写真が目に入る
報告書を提出しようと、悟を探しようやく見つけた食堂で
そこには小さなチョコパフェが写っている
というのも、ブレていて“チョコパフェ”と言われなければ何が写っているのか分からないけど
懐かしい
3歳の誕生日
母親はまだ小さい私を抱えて、天音家から脱走した
よく考えれば、母親も限界だったのだろう
浴びせられるのは言葉だけじゃない
傷だらけの私を抱いた痣だらけの母親は
天音家から遠く離れた、小さなカフェに入ったらしい
なんでもいいから甘いものが食べたい、という私に
メニューの中で一番安い“小さなチョコパフェ”を食べさせた
そして、母親が持っていたカメラで私が幼いながらに残そうとしたのだ
帰ってからどれだけ殴られても、何を言われても
私と母親は約束した
“来年も食べようね”
そういえば、帰ってきてから何も食べてない
口を塞ぐために取り出した煙草を加え、火をつける
小さなチョコパフェがくれた、唯一の思い出
もう消したはずの思い出が、まだあることに驚いて
悟に背を向けた
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!