第37話

〈35〉小さなチョコパフェ
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2025/05/10 05:39 更新
七海建人
七海建人
それ、私に話してよかったんですか
通話口から聞こえる声と、目の前に座る先輩を睨む
五条悟
五条悟
いいんだよ
五条悟
五条悟
僕と憂太だけじゃ不安だからね
乙骨憂太
乙骨憂太
《そもそも僕はあなたの下の名前の傍にいないので》
乙骨は全て話した
自分の知っていることを、答え合わせかのように
悟の前で“あなたの下の名前の言葉”で話したのだ
五条悟
五条悟
1年3人とあなたの下の名前、最初は悠仁を狙ってるのかと思ったけど、もしそうだとしたらわざわざあなたの下の名前を呼ぶなんてことはしないだろうし
そんなことなど、七海にとってはどうでも良くて
ただ、あなたの下の名前の過去が自分の想像より重いものだったことに驚いていた
乙骨憂太
乙骨憂太
《五条先生に何かあった時、あなたの下の名前に何かあった時は僕がいるので》
乙骨憂太
乙骨憂太
《天音関係のことはある程度あなたの下の名前から聞いているので》
少しの会話をし電話を切ったあと、悟は静かに立ち上がった
七海建人
七海建人
どこか行くんですか?
五条悟
五条悟
もうすぐ歌姫から内通者の連絡が来る
五条悟
五条悟
多分それと同時に1年が戻ってくるから
七海建人
七海建人
あなたはどちらへ?
五条悟
五条悟
そろそろ話さないとね
悟はその日の夜、天音へと向かった
伊地知潔高
伊地知潔高
お疲れ様でした
お怪我は?
(なまえ)
あなた
ないでーす
メカ丸の姿が消えた
連絡を受けとるその時まで、私は呪霊を祓っていた
(なまえ)
あなた
それより3人に怪我は?
伊地知潔高
伊地知潔高
ありません、ですが
伊地知潔高
伊地知潔高
すぐに高専に戻るよう夜蛾学長より連絡がありました
(なまえ)
あなた
伊地知さんも元気?
伊地知潔高
伊地知潔高
え?あぁ、はい元気です
(なまえ)
あなた
よし!!行こうか
10月30日
19時00分
私と伊地知さんを乗せた車は

静かに、そして速く


進んでいた
(なまえ)
あなた
あ、これ…
五条悟
五条悟
その写真、渡してくれって言われたんだけど
一枚の写真が目に入る
報告書を提出しようと、悟を探しようやく見つけた食堂で





そこには小さなチョコパフェが写っている
というのも、ブレていて“チョコパフェ”と言われなければ何が写っているのか分からないけど
(なまえ)
あなた
なんでここにあるの?
五条悟
五条悟
天音から貰ってきた
(なまえ)
あなた
天音って、
五条悟
五条悟
使用人とかじゃない?
お嬢様に渡してくれって言ってたし
懐かしい
3歳の誕生日
母親はまだ小さい私を抱えて、天音家から脱走した
よく考えれば、母親も限界だったのだろう
浴びせられるのは言葉だけじゃない

傷だらけの私を抱いた痣だらけの母親は


天音家から遠く離れた、小さなカフェに入ったらしい
なんでもいいから甘いものが食べたい、という私に

メニューの中で一番安い“小さなチョコパフェ”を食べさせた


そして、母親が持っていたカメラで私が幼いながらに残そうとしたのだ


帰ってからどれだけ殴られても、何を言われても

私と母親は約束した






“来年も食べようね”






(なまえ)
あなた
捨てられたのかと思ってた
そういえば、帰ってきてから何も食べてない
(なまえ)
あなた
甘いもの…食べたいな
口を塞ぐために取り出した煙草を加え、火をつける
五条悟
五条悟
今度買ってくるよ
小さなチョコパフェがくれた、唯一の思い出
もう消したはずの思い出が、まだあることに驚いて
悟に背を向けた




五条悟
五条悟
やっぱり、お前は強いよ
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