あにきに見せてもらったそれは、
紫色の紙切れにかかれた
悲痛な文章。
「 みんなへ
ごめんなさい
これは事故とか事件やなくて
僕の意思です。
いっぱい迷惑かけました。
ごめんなさい 」
その字は確かに、
しょにだのものだった。
実際に
しょにだの部屋から見つかって
いるのだから、
しょにだが書いたものであることには
おそらく間違いないはずだ。
事故、事件でない、僕の意思
なんて言っているから
俺の目に映してもそれは、
遺書にしか見えない。
ごめんなさい、なんて
彼が謝るべきことは何一つないのに。
俯きながら、
あにきがそう、
小さく零した。
ほとけが死んで寂しいのも、
しょにだが消えるのが怖いのも、
俺もあにきも一緒だった。
あにきの問いに、
俺は答えを見つけることが出来なかった。
ほとけのことについて、
何か聞けそうなのは
あとはあにきだけ。
ここで何か情報が得られれば、
ほとけの死んだ理由がわかるかもしれない。
あにきは手を顎に当てながら、
記憶を絞り出すように話しはじめた。
料理上手なあにきのスイーツか。
食べてみたい、と思ったし
ほとけがうらやましい、なんて
場違いだけど思った。
… …それだけ、か。
いや、それだけでも
有りがたいものだが、
正直成果はない、といえる。
これでは、どうして
ほとけが死んだのか、なんて
わかりようもない。
分からない。
どうしてほとけは、
崖から仰向けで落ちたんだ。
仰向けってことは、
崖と反対側を見ていたわけだ。
なんで?
別に景色が良いわけではない。
なのにわざわざそっちを見るなんて、
そこに誰かいたのか?
… だれか、いた?
不透明だけど、何か、何かが
分かりそうな気がする。
__ もしかして … … 。
そこには誰がいたのか、
机に置かれた遺書に、
そっと目を落とした。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。