第15話

#14
469
2025/07/19 09:00 更新











 ほとけ、
 遊園地行けなくなってすまんな 




「 ううん、
 しょーちゃんのことは
 僕だって心配してるからさ 」









帰宅後、
俺はなるべく自然に話をふる。








そういえば、
ほとけが文字を書くスピード、
かなり早くなったな、なんて思う。
字ももしかしたら
上手くなったかもしれない。




 それと 、… …ほとけ 




「 …なに? 」








そう問うほとけの様子は
字だけでもわかるくらい怪訝そう。




 俺、なんでほとけが死んだのか 
 分かったかも




空気が、
変わった音がした。

ほとけの息を飲む音が、
聞こえないはずなのに、
確かに聞こえたんだ。

目を見開く、
彼の顔までもが脳裏に色彩を持って浮かぶ。

彼がおずおずと
ボールペンを動かすまでの間に
時計の一番細い針が、
ちょうど一周した。








「 そっか、
 でも間違ってるかもしれないよ? 」




 そうや、だから
 ほとけに聞きたいことがある 




「 うん、どうしたの? 」







ほとけの握るボールペンが、
微かに震える。

そんなに怖いのか、
知られるのが。

それは 、… …
彼を心配しているから?




 … …しょにだはなんで、
 死にたいなんて言い出した? 



ボールペンが、落下した。



 … …ほとけ? 




問いかけた後、
すぐにそれは拾われた。

でも見えない手元は
まだおぼつかなく見えた。

… …動揺しているのだ。

俺の質問の意味を理解して。

つまり、
俺がたどり着いた答えは、きっと。








「 なんでって、
 僕が死んでからずっと … …
 しょーちゃんあんな感じじゃん?
 僕のこと、気にしてくれてるんだよ 、 」








初めて幽霊のほとけと話したときよりも、
書くのが長いと感じたのは
単純に文章が長かったからではないのだろう。




 … …しょにだが
 死にたいなんて思うんは
 それだけが原因やないんちゃう? 




逃がさない。

そんな心持ちで、
鋭く君を見つめる。

君の書く字は
どんどん小さくなっていく。








「 なんで、そんなふうに 」



 … …それなら、ほとけが
 いつか言っていた発言とも 
 上手く結び付く




またほとけは、
しばらく固まった。

まさかこの段階で成仏なんか
していないだろうから、
ほとけが言葉を綴るまで
とにかく俺は待っていた。

やがてその、
見えない手が動かされる。







「 さすがだね、いふくん 」









彼は、自身が隠していた事実を、
やっと認めた。

その一言から、
せきを切ったかのように、
ほとけの言葉は
素早く綴られた。








「 しょーちゃんに傷ついて
 欲しくないって思って、
 ほんとのこと知られたくなかった 」









早口で話した後、
一度息を大きく吸うのと同じように、
ボールペンが宙で固まる。

しかし、
すぐにまた紙面へと戻っていく。
ほとけの言葉はまだまだ終わらない。









「 でも、気づいていたの
 このままじゃ しょーちゃんを
 本当の意味で救うことはできない
 だからいふくんには 答えを伝えなきゃって 」









「 しょーちゃんの前みたいな
 笑顔が見れないと僕は 」









「 ずっと ゆうれいのまま だって 」








そこでようやく気がついた。
ほとけの未練は、
しょにだの笑顔を見ること。




 … … 安心せい
 俺が、俺らが、 




 しょにだを傷つけるわけ 
 ないやろ っ … …?




だから、
ほとけの未練を晴らすためにも
早くみんなにほとけが死んだ理由を
俺なりに伝えないといけない。

しょにだは確かに 
怯えるだろう。 

だけど俺らがいるから。

今度こそは。

そう思い、 
明日にでも会議を開いてもらうために
ないこに連絡を __ しようとした。








それでも出来ずに止まったのは、
前から紙切れが投げつけられたからだ。

ほとけが投げた、ということか?

その中身を見る。








「 まって 」








その筆跡は荒れていて、
彼が焦りながら書いたのだと伝わる。




 なんでや、
 せやないとお前の未練は … … 




目の前でせわしなく 
ボールペンが動く様を見る。

最近は字を書くのが早くなってきていた
彼だけど、
その中でもこれまでの比にもならないくらい、
素早く必死な動きだった。

そしてその文章が完成したとき、
俺は初めてほとけが急に
遊園地になんて行きたがったわけを知った。

悟らされてしまった。








「 あと一日だけ僕の未練を晴らさないで 」









「 まだ僕をここに居させて 」









ここで生きさせて' ' ' ' ' ' ' '









当たり前だ。

どうしてそんなことに気がつかなかったのだろう。

ほとけが死んだ理由は看破したというのに。










ほとけだって
本当はずっと、死にたくなんてなかったんだ。

消えてしまうのなんて、
怖いことでしかなかったんだ。

すぐにでも成仏を、なんてしたいわけない。

まだ彼はこの世に、居たかったんだ。






























 最終話 近づいてきました!!!!!

 そろそろ トリックが解ける人もいるかも … 👉👈









プリ小説オーディオドラマ