「じゃあね、あなたちゃん。」
毒で苦しむわけでも、もがくわけでもなく、
童磨は綺麗に、亡くなった。
消えた。何の跡形もなく。
その場でただ放心していた私は、
肩に乗った姉さんと伊之助の手にはっとした。
「帰ろう。あなた。」
優しすぎる姉さんの言葉。
姉さんはまだきっと戦うのだろう。
伊之助も、カナヲもまだまだ人のために戦う。
一体私は何の為に生きているのだろうか。
そんな疑問がふと頭をよぎった。
あのまま私ごと死んでしまえば、
みんなに迷惑をかけることは無かったのでは??
1度そう思ってしまうともうどうしようもなくて。
私は不安に駆られてただ泣いた。
目が腫れるまで、息が出来なくなるまで、。
「弱音を吐くことは許しません。」
ふと頭上で聞こえた声に、
私は急いで顔を上げた。
『カナ、エねぇ、さ…』
いつもとは違う厳格な顔つき。
「逃げることは許しません。」
厳しい言葉。
『ねぇさ…ん、』
手を伸ばすと、姉さんは消えていった。
言いたいことは、山ほどあった。
だけど今は。
確かめるように頭に乗せられた、
ゴツゴツしい伊之助の手を握り返し、
勢いよく抱きついた。
『ごめんね、ただいまッ、』
Happyend・・・あなた制作の毒により、
上弦の弐 童磨死亡。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!