胡蝶しのぶside
「師範!!」
夜も更けた頃、カナヲが顔を真っ青にして部屋に飛び込んできた。
口をパクパクさせて、目を見開いて。
こんなに動揺してるカナヲ、見たことないって位。
「姉さんが!! あなた姉さんが帰って…」
息が止まったと思った。
考える間もなく部屋を飛び出て蝶屋敷の玄関に行くと、
「しのぶ姉さん…」
カナヲが言っていた通り、あなたがいた。
両端に鬼を引連れて___
「ごめん、迷惑掛けるつもりは無いの。この時間だったらみんな寝てると思って…」
そう言うあなたの顔は明らかに色白く、痩せていた。
目の下には隈が出来て。
手紙じゃ伝わって来なかった、あなたの不健康具合が見て取れた。
「ここがあなたちゃんの 住んでた 所かぁ!! 素敵だなぁ!!ニコッ」
「手短に済ませろ、あなた。」
そんな私たちに構う様子もなくへらへらと笑う鬼。
腸が煮えくり返る思いだった。
すぐにでも刀を抜いて、心臓から突き刺してやりたい。
怒りで身体が震えた。
身体の芯からこいつらを受け付けられない自分がいた。
「少し外で待ってて欲しい。 姉さんとの時間が、欲しい…」
あなたがそう言うと呆気なく敷地から出ていった2人。
いや、あいつらは人と換算していいものじゃない。
ただのクソ野郎だ。
私はあなたに連れられるまま、蝶屋敷の1番奥の部屋に入った。
あなたの望みでカナヲには後から伝えて欲しいと言われた。
「しのぶ姉さん。 私が送った情報を間違った事に使わないで。」
「私は姉さんの命を無駄にするためにあんなこと送ったわけじゃない___」












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!