昼ごはんは拳一粒分の大きさだった。
でも時期に段々小さくなっていき、最悪の場合ピンポン玉一つ分の大きさになってしまった。
そして戦争が段々と酷くなっていき、日本軍の兵隊さん達の遺体を運ぶ事も少なくは無かった。
…そして私が何よりも疑わしいのはラジオ放送で「今日も日本は優勢です」と声がかかる。
でも、偶然遺体処理に連れて行かれてアメリカ兵が倒れてたので見たところ、アメリカ兵の隊服と日本兵の隊服を見比べれば圧倒的にアメリカの方が裕福じゃないか。
本当に不思議ね。本当に日本が優勢なら昼ごはんだって欲を言えば最低でも握り拳二つ分のおにぎりは配布されるのに。
…本当に日本は勝ってるのかしら?
私は思考を巡らすより先に涙が出た。
毎日毎日辛すぎて、毎日毎日人が死んでいくのが何よりも悲しかった。
私が泣いても何も言わない。
もっと厳しいところでは、ぶん殴られたり、あるいは、最悪の場合…“処分”される所かもしれない。
皆、みんな、優しかった。
私が涙に暮れても慰めてくれた。
誰かが声をかけた。
恵理子だ…!
あぁ、もう、情けないわね、私。
声ぐらいしゃんとしなさいよ、皆んな辛いのは同じなのよ?
それなのに、なんで自分だけこんな情けない言葉に詰まりのある声が出るのよ。
このとき私は自分の無力さに嫌気がさした。
…本当私って情けないわね。
どうして恵理子みたいにしゃんと出来ないのよ?なんで恵理子の様に心が強くならないのよ!
恵理子は背中をさすったり、頭を撫でてくれた。
このとき、恵理子の眼差しに何か熱い塊があった。
…いいえ、違うわ。“日本は負けてるのよ”
そうに違いない。だって裕福だったらもっと装備とかまともだし何よりもおにぎりが証拠よ。ピンポン玉の大きさっておかしいわよ。
おかしい。絶対おかしいわよ。
……そう言いたかった。
喉から手が出る程言いたかった。
でも、言えない。
絶対に言えないわ。口が裂けても言えない事なのよ。“言っちゃ駄目なのよ”
大切な心友なのに、言えない。
あぁ。心の底から信用してるのに言えないなんて私はなんて臆病者なのかしら…












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!