監禁言うてもぐろはないから安心してね。
「んぁ、、?」
ジャラ、と手を動かそうとするたび鳴る金属音と体の不自由さに違和感を覚え目を覚ます。手錠に足枷、口にはタオルが巻き付けられている。やけに広く、それにしては足りていない照明のせいで自分のことしか見えない。
「ろういうこほはんは、、、」
どういうことなんだ、口に出そうとしても上手く発音できない。頭がクラクラする。どうしてこうなったのか、必死に昨日を思い出していた。
「うえーいかんぱーい」
「かんぱーい」
カーンと硝子同士がぶつかる音が響く。おれもも酒が飲めるし家も近いし一緒に飲まないのも勿体無い!そうあーずかいが提案したことであーずかい家で宅飲みをすることになった。各自おつまみと相手に飲ませる酒を用意して飲ませあったりしよう。そんな風に会話したのが昨日のことだった。
「ぷはーっ!やっぱお酒は美味しいねえ!」
「これ初めて飲んだけどうま、これ何?」
「ウーロンハイ」
「ウーロンハイ、、、?」
あーずかいから渡されたお酒は普段飲まないような、見たことないラベルのお酒だった。のみやすくどんどんごくごく飲んで飲んでいった。
「これおいひぃ、、」
「ちょw呂律回ってないじゃんww」
呑みすぎて呂律が危うくなってきたぐらい呑んだ頃、あーずかいが全然酔ってないことに気づいた。
「あーずかいももっと酔おうぜぇ」
「だる絡みやめろよww」
にしても今日は酔うのがはやいなあ、楽しくなって呑みすぎたかもしれない。つまみを食べつつ回らなくなり始めた頭で考える。お酒を淹れる手が止まった頃
「おやあ?おっpもう限界なの?おれまだいけるけどw」
「僕らってまらまらいけまひゅよ、、、」
「諦めろよ」
瓶を開けて注ぎグイッと一気にそこそこの量を飲む。そういえばこれ、アルコール何%だ?いまないはいめだ、、?まあいいか。
「あーずかいはいいよなあ、、、ちゃんとこせえあるしよお、、、」
「はいはいそうですか」
「適当に流すなよお、、、おれだってしんけんになやんでるのに」
「泣くな泣くな、、年上が酔ってこれはみっともないぞ〜」
「うぅ、、、みず」
限界がきて水を飲もうとそこら辺にあった水らしき物を飲もうと口へ運び飲み込むときとてつもないアルコールの味がした。
「ぁあ"あ、、、?うげぇ、、のど、が、、」
「何飲んだの」
「みず、、、」
「絶対水飲んだ反応じゃないじゃん」
薄い色の液体を見せ何に入っていたか瓶持ち出す。量はだいぶ減っていた
「まってそれスピリタスじゃん、、!罰ゲーム用のやつだったのに」
「そうらの、、、」
もう駄目だ。眠気に限界が来て目を閉じる時、少し上がっていたあーずかいの口角に俺は気づかなかった。
ああそうだ、あーずかいの家で呑んで、寝ちゃって、、、その後がこれ?手首についた手錠と足枷を交互にみて自問自答を繰り返す。口に巻かれたタオルのせいで息苦しいな、そんなことを思っていたらガチャ、と扉の開く音がした。暗闇の方からぺたぺたと歩み寄ってくる音がする。誰だろう、何か対抗しようにもこの状態でも普段でもどうしようもならない。段々と見えてきた。
「あ、起きた?」
「、、、ろういうことれすふぁ」
「まってその状態で喋らないでくっそおもろいから」
「らまれ」
「はいはい今外してあげますからねー」
現れたのはあーずかい。手錠をつけたのはあーずかいなのか?だとしたらなぜ?理由が見当たらない。金、、、は困ってないだろうし、、、だめだ。本当にわけがわからない。こちらに近づいてきて口に巻かれたタオルを取られる。巻かれてそこそこ時間が経っていたのか唾液が糸を引く。
「あーずかい?タオルと一緒にこっちも外して欲しいんだけど」
「え普通に無理だけど」
まるで当たり前かのように不思議そうにこちらを見る。意味がわからない、そう言っているようだ。こっちのセリフじゃボケ。
「で、あーずかいさん」
「はい」
「目的は?お金ですか?困ってないでしょお前」
不服の意思で手と足を揺らし、ガチャガチャとした金属音が部屋に響く。
「いや金じゃないけど」
「じゃあまじでなんなん」
「えー、、、言いたくないんだけど」
「ふざけんなそれくらい言えよこっちは拘束されてるんだから」
さて一体なんて理由なのか、一生編集地獄か?頭を抱えるうなり数秒間迷っていたが覚悟を決めたのか、口を開く。
「好き、、、だからとしか」
「、、、はあ!?!?」
「うっさ」
「ちなみ先生よりはうるさくねえよ」
「ちょっと他の男出すのやめてもらえる?」
「メンヘラかよ」
ついに頭のネジが取れたのか。そうだろう、というかそうであってくれ
「で何、お前ゲイだったの?しかも愛し方歪んでるし」
「失敬な、おっPだから好きなんだし、、、あと俺は純愛です」
「監禁まがいしてくることのどこが純愛なんですかねぇ、、?」
「監禁まがいとは失礼な、監禁だよ」
「もっと酷くなっちゃったじゃん」
「www」
「笑ってんじゃねえよ」
「ごめんごめんw」
そうケラケラと笑う顔を見てわかる、嘘ではなく本心で僕のことを好いているのだろう。しかし物好きだなあと一周回り感心する、仲良くして2年ぐらいしか経ってないしそんな素振り今まで見せてこなかったし自分で言うのもだがどうしてこんなのが好きになるのかわからない。
「でさ、監禁してどうするつもりなの、でなんで僕のこと好きなんですか、あと、、、」
「ちょ多い多い多い、一気に質問しすぎ、、、これからここで一生過ごすんだから時間は有り余ってるよ?そんな急がなくてもいいんだよ」
「重、、、」
まあとりあえず聞きたいことをまとめよう、監禁理由、好きな理由、動画投稿はどうするのか、毒あきおの2人にはどういうのか、ここら辺だろうか。
「で、何が聞きたい?」
「まず一つ目、監禁した理由は?」
「そんなの決まってるじゃん、もう他の誰にもおっPのことを見せない。」
「寝顔も普段の顔も怯えた顔も食事の顔も入浴中の顔も全部全部俺以外に見せないため」
「ひぇ、、、」
「ちょ自分から質問したくせに引かないでくれる?」
愛が思ったより、、、いやもとより重いのは覚悟していたがここまでとは。だいぶ深刻だ、あーずかいの頭が。
「んじゃ二つ目、僕のことを好きな理由は?」
「へー可愛いこと聞くじゃん」
「黙れ、自分で言うのもなんだけどなんでこれを好きになるのかわかんなくて、興味本位」
「好きな理由か、声も喋り方も見た目も好みだしそういう自分を卑下するとことか滑ったことを後々結構気にしてることとか自分がミスするとすごい申し訳なさそうになるとことかMなとことか」
「めっちゃ好きじゃん俺のこと、てかMじゃねえよ」
「好きじゃなきゃ監禁しねえよ」
確かに、ここまで愛が重くなきゃ監禁なんてことしないわな。そう思っていた時お腹がぎゅるるるるとなる。昨日は酒とつまみだけだったしかなり寝ていたからか体が空腹を訴える。静かな空間にお腹の音がやけに響き顔が熱くなる。
「、、、」
あーずかいがスマホを構える、パシャパシャとカメラの連写音が鳴る。撮られた羞恥心で思わず顔を背ける。
「やめろ、撮るな、、撮るなぁ、、、」
「いやでーす、家宝にしまーす」
「くそったれが、、、」
「まあお腹空いたでしょ、ご飯作ってくるねー!」
「あっ、おいまだ聞きたいことが、、、」
バタバタとなる足音と共にすぐに暗闇に消えていった。これからどうなるのか、chはどうなるのか毒あきおはどうなるのか、もし外に出れたとしても毒あきおは続けられるのかそもそも逃れられるのか、、、不安と恐怖心に押しつぶされそうだ。
「、、、寝よ」
冷たい地面に冷たい手錠、、、冷えるな、そう思いながら眠りについた。
ついに、、、ついに念願叶った!!ずっと思っていた、おっPが自分しか見なければ、自分としか話さなければどれだけいいか。どれだけキムテスやちなみ先生に嫉妬してぐるぐると醜い感情が渦巻いたか。これでもう俺のものでしかない、どう愛してあげよう、そんなことを考えながら料理をする。
「美味しくできてるといいけど、、、」
トレーに乗せぺたぺたと階段を降りる。転ばないよう、こぼさないよう慎重にでも迅速に。お腹が鳴った時の顔可愛かったなあと噛み締める。自分の歩く音だけが地下室に響く。だんだん光が見えていき愛する人のもとへつく。
「お待たせ、二日酔いの薬とかもってきた、、よ?」
寝転んでるだけと思ったがよくよく見ると寝息をたて、丸まってすやすやと無防備に寝ている。口からは少しよだれがたれ監禁されていると言うのに随分リラックスしている。警戒心はどこにいったと問いたくなるがとりあえず寝顔をぱしゃり。
「コレクションゲット〜♪」
あとで印刷して壁に貼ろ、とりあえず起こしてみようと、近づきぽんぽんと軽く叩く。
「ほら、飯」
「んぁ、、、?ふぁ、、」
「ほら起きるの」
「んん、、、」
随分深く寝たのか不満げに追加で寝ようとする。寝ぼけてるのか眠そうにこちらを見上げる顔はあまり、、、いや絶対に他の人に見せたくない。もう一枚パシャリ
「ほら、起きて」
頬をぺちぺちと軽く叩く。ふにふにとした頬は触り心地がとてもいい。
「、かれー、、、?」
「そ、カレーだよ」
「たべたい、手錠外して」
「だーめ」
そういう時むっとし不満げな顔をする。どうやって食えと?そう言いたげな目で俺を見つめてくる。
「ほら、あーん」
「はあ?」
「何、なんか文句?」
「いい歳した大人があーんされて文句ないとでも?」
「だって俺だし」
「どっから出てんのその自信」
「うるさい」
ぐっと口にスプーンを突っ込むと目を丸くして驚いた顔を見せる。
「んぐっ!?」
「ど?美味い?」
「んぐ、、ふっ、あち、、、うま」
小さいが美味しいと言う感想を愛する人に聞け幸福感に包まれる。ちゃんと美味しくできたかは不安だったができていたようで安心する。
「ふぅ、、、急に口に突っ込むな馬鹿」
「食べさせてっていったじゃんおっP」
「言ってねえよ」
その後もういいと言うまで口にカレーを入れ続けた、飲み込み水を飲み落ち着いた後まだ聞きたいことがあったのか質問を投げられる。
「俺のチャンネルと毒あきおはどうなるの」
「そんなことどーでもよくなるぐらい溺れさせてあげるからさ」
「話通じてねえ、、、」
「まあもう何も考えなくていいんだよ、編集も動画のネタもファンのこともアンチのことも」
「俺が全部養ってあげるからさ」
「、、、ちょっと悪くないのやめろよ」
「へへ、わーい」
地面に座らせていたおっPを力一杯抱きしめる。最近少し筋トレしていたせいか思ったより力が入っていたらしい。
「いだいだいいだい」
「あ、ごめん」
「力加減覚えてくれ、、、」
「ごめんごめん」
おっPは少しため息をついた。chと毒あきおの後々が気になって仕方ないのだろうか、まあもうどうでもいいだろう。
このまま一生、ここにいてもらうんだから。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。