あの日、あのとき。
病院の霊安室で横たわる北斗を見たとき。
俺は何を思ったんだっけ。
北斗の死を悔やんだ?
北斗の思い出を探った?
北斗の名前を呼んだ?
俺は泣いた?笑った?無表情だった?
もう思い出せないくらいに感情が消えていて、
感情がないはずなのに頬を伝う雫が俺の視界を邪魔して
帰り道の街の灯りすら
何億年前かの星の光すら怖くって
あの日だけ
あの日だけだった
北斗のことを考えて泣いたのは。
好きで泣いたり
傷ついて泣いたり
俺は一度もなかった。
俺らはちゃんと恋人だったのかな
好きで
愛し合った瞬間なんてあったか?
互いに傷つくことも
傷つけることもなくて
泣き合うことも
本音を吐き合うこともなくて
それって
ほんとに……
好きだった?
支えあえてた?
俺は
俺は
ちゃんと北斗のために生きられてたのかな、…











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!