俺はあの後、どうやって帰ったか覚えていない。
ただ、北斗を見つけたときの記憶だけがずっとフラッシュバックして、
夜は眠れなくてオールした。
もう頭がぐしゃぐしゃで、
でも何故かこの状況を理解できてしまっている俺がいて、
悲しくて、苦しくて、
なんとも言えなくて。
感情なのかわからない気持ちがぐちゃぐちゃにすり潰されてて、
家に帰っても、
ベッドは冷たかった。
2人で買った家具
2人で買ったアクセサリー
2人で囲んだテーブル
2人で座ったソファ
その全てが俺を刺激して、涙腺が緩む。
京本「……、ほくとっ……」
人生で一番その言葉を口にした日だったかもしれない。
恋人の名前を呼んで
恋人のことを想って泣いて
恋人との思い出に浸って。
恋人のいる、人のいる生活が
こんなに尊いなんて………。
俺はこの大切さに気付かされた。
今まで自分が気付けなかったことに腹が立つとともに、
街中を歩くカップルたちが酷く鬱陶しかった。
それは当たり前じゃないんだぞ。
嫌いって言って触れられない期間が勿体無すぎる。
わかんないくせに。
人っていつ失うかわかんないのに
それをわからず手を繋いで
好きって言い合って
幸せだなって思いながら、
明日会う約束をする。
気づけてなかった俺も
気づけてないお前らも
みんなみんな鬱陶しい。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。