第5話

5.無力
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2024/09/13 01:00 更新
恋人が死んだ

母さんにそう送った。

返事はこう

え?

の二文字。

ぁあ、だめだ。わかってない。

俺がほしい言葉は「え?」じゃないのになぁ。

たいが
たいが
だから、恋人が死んだの

水死体になって見つけたの
京本の母
あんた何言ってるの
たいが
たいが
え?
京本の母
北斗くんでしょ?
たいが
たいが
うん
京本の母
……本当に亡くなられたの?大我が見つけたの?
たいが
たいが
俺が見つけた
京本の母
……本当に……?
たいが
たいが
嘘だと思うの?
母さんは何故かしつこく聞いてくる。
たいが
たいが
恋人が死んだんだよ?
俺だっていろいろあるの
北斗のことを伝えたかっただけ
たいが
たいが
まだ何もわからないから
バタバタしてる
それだけ送り、スマホの電源を落とした。

これから警察からの事情聴取がある。

北斗のことに向き合うチャンスなのだ。




警察官「発見時、どんな状況でしたか?」

京本「えっと、顔が白くて、あとお湯が張ってあったんですけど、少しお湯が赤くて。俺が首に脈をあてたときには…脈は………………」

言葉を濁らせる。

正直、北斗のことは思い出したくない。

けど、けど、……

俺は、北斗のために生きなきゃだめだから……。





それから20分程の事情聴取を終え、俺は家に帰った。

京本「……」

北斗の過ごした跡がそこらじゅうに残っている。

また帰ってくるような、そんな気がする。

でも

あの日の光景を思い出す。

顔が白くて、血が滲んでて、目はきれいに閉じられてて。



だから

だから余計しんどい。

あんなきれいに死んじゃうから。

あんなきれいな死に方しちゃうから。

俺はまた涙を零す。

自分の無力さにいらつく。

北斗がいない。

それに早く気付けたら、

こんなことならなかったのにって。

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