第6話

6.手紙
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2024/10/14 07:00 更新


























遺書?






























…が見つかった?

































受話器を片手に立ち尽くす。
どういうことだ。遺書ってなんだ。
あれだよな、あれ。










京本「………………」








なんで…
















京本「……それって…」

































京本「自殺ってことですか」







俺は冷たく吐き捨てた。
「その可能性もありえます」
淡々とした警察官の声が受話器越しに響く。
なんだよ。
人が死んだのに淡々としやがって。
俺は体から体温が引いていくような気がした。





警察官「こちらです」

俺は手袋をして「遺書」と書かれた手紙を手に取る。

京本「…これ、どこで…」

警察官「洗面所です。指紋も松村様のもので間違いないと」

京本「…そう……ですか…」

俺は意を決して手紙を開いた。
目に飛び込んできたのは、北斗の達筆な字。




















遺書

みんなごめん。

俺なんか耐えれなくなったみたい。

ずっと学生時代からの自殺願望が叶ってよかったな〜って思う反面、あー、もう会えなくなるの嫌だなーって思うところもある笑

じゃあ死ぬなよってね笑





あだめだ。遺書明るすぎ笑
俺これから死ぬのに笑
うーん、遺書って何書けばいいのかな。
死ぬ理由?
大切な人に向けてのメッセージ?
だめだよそんなありきたりな遺書。

ただ、耐えきれなくなっただけ。
それだけだよ。
社会の圧力に殺された。
そう思ってて。



















本当は、死ぬかどうか迷った。
今日の夜だって恋人と過ごした。
家族以上に大切な人だった。





ごめんね、大我。
愛してるよ。




ずっと。





北斗らしいと思った。
最も北斗らしかった。
涙は不思議とでなかった。
これが北斗の残した言葉。
これが北斗の最期の言葉。
もう聴くとこのできない北斗の声が蘇ってきた。

咄嗟に耳を塞いだ。
俺の胸は休まることを知らないようにどくどくとすごい速度で鳴り続ける。
血液が巡る。














俺は生きている。













あの北斗の顔も言葉も見ることできないのに
俺は今日も飯を食って、風呂に入って、寝て。
生きている。確かにこの地に存在している。












どうして………


























どうして俺じゃなくて北斗なんだ。











不幸が降りかかるなら俺のほうがよかった。

俺のほうが誰も不幸にせずに死ねた。

……ううん。

生きれた。

死なずに生きれたよ。

どんな不幸が降りかかろうと

生きれたよ。







どうして神様は北斗を選んだ。
どうして神様は俺じゃなかった。


























どうして……












俺は何も言わず膝から崩れ落ちた。

俺のつむじには警察官の視線が突き刺さった。





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