誰もいないセカイ 湖周辺にて
side:まふゆ
私はどうにか瑞希を見つけようと探していた。
何がなんでも見つける。
見つけてみせる。
タッタッタッ
今の、間違いない。
瑞希の足音。
何年も聞き慣れてきた足音を間違えるはずがない。
あれは間違いなく瑞希の足音だ。
私は大きく息を吸い込んで、言った。
どこかで、気配が揺れた。
瑞希の気配。
きっと、私の大声に驚いたのだろう。
私はそこまで向かった。
数分後
誰もいないセカイ 湖周辺にて
side:まふゆ
私はその名前を呼んだ。
ずっと探し続けた、ずっと待ち続けた、その名前を。
瑞希は何も言わなかった。
俯いていた。
顔はほとんど見えなくて、表情を読み取ることはできなかった。
…やがて、瑞希が口を開いたのがうっすらと見えた。
瑞希の声が聞き取れなくて、もう1度聞き返そうとした。
でもその必要はなかった。
さっきとは比べ物にならないくらいの大きな声で、瑞希がそう言った。
…あぁ、と思った。
瑞希はきっと、辛かったんだ。
瑞希は、言い終わってからはっとしたような顔をした。
背を向けようとするその体を引き留めるために、腕を掴んだ。
私は真っ直ぐに瑞希を見た。
瑞希の目が大きく見開かれたのが見えたけど、そんなのは今はどうでも良かった。
私はただひたすらに紡ぎ続けた。
私が言い終わって口を閉じると、ほぼ同時だった。
シャララーン
聞き慣れた音と共に、それ以上に聞き慣れた声が、私の後ろから飛び込んできた。
瑞希の視線が泳いでいた。
私はゆっくりと後ろを振り返った。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。