1週間後
??? にて
side:まふゆ
私たちは今、春休みで紫の国に来ていた。
といっても紫の国はもう無いし、今は黒の国でもない、別の国だけれど。
かつて紫の国と呼ばれ私たちが居た場所に来た。
…2人が話しているように、この城は奏と2人で作った。
もちろんこういう風に大きくしたのは本格的に国になってからだけれど、ベースはずっと私たちが作った時のものだ。
あの頃、奏は今よりも体力はあったので少しは材料などを運んでいたが、私が大半を運んだ覚えがある。
やっぱり転生しても変わっていないんだな、と思った。
…絵名や瑞希も、あまり変わっていないような気もする。
私は⋯どうだろう。
自分では分からないが、もしかしたら変わっていないのかもしれない。
そう思いながら3人を見る。
楽しそうだ。
瑞希の提案に、絵名が頷く。
確かに奏は久しぶりに外に出たのもあって少し辛そうだ。
しかも国外なので、なかなか遠くには行けないだろう。
その奏が口を挟む。
奏がバテない距離で、私たちの思い出の場所。
私には1つ、心当たりがあった。
瑞希と絵名がすぐさま反応する。
奏は少し嬉しそう。
なんでだろう。
あぁ、そういうこと。
そんなの、覚えているに決まっている。
だって、あの時はとても衝撃的だったから。
奏が思い出したようにぽつりと呟く。
私もその景色を想像し、頷いた。
2人は全く分かっていないようだ。
2人に急かされ、私たちは“あの場所”へと歩み始めた。
数分後
???にて
side:まふゆ
私たちが2人を連れて来たのは、桜の大木。
今は桜の季節には少し早いので、満開とは行かない。
がやはり春ではあるので、そこそこは咲いている。
周りには珍しく誰もいない。
もったいないとも思うが、それが逆に神秘的な美しさを秘めている。
2人は先ほどから写真を撮ることに夢中だ。
私はそんな2人を横目に桜の木に近付く。
奏も私が何をしようとしたのか分かったみたいだった。
少し急ぎ目に着いてくる。
困惑する2人をよそに、私たちは“あの日”と同じ体制で。
“あの時”と、同じ言葉を紡ぐ。
そうして、私は跪き、奏の方を見る。
差し伸べられた手を取る。
そして、彼女は笑う。
天使のように。
あの時と同じ、“天使を見つけた”という感覚を思い出す。
懐かしいようで、そう経っていないような。
そんな、微妙な時間。
でも、それでも私は。
少なくとも今は多分、そう思っていると思う。
こんなにも、大切な仲間が出来たから。
…だから、誰かに邪魔されて、失いたくはないな。
…ほら、例えば。
スッ
そこの茂みでそっとこちらを伺っている、彼女とかに。
…ふと呼ばれて、意識をそちらに向ける。
どうやら心配させてしまっていたらしい。
私は「なんでもない」と返し、「それより」と3人に問う。
…やっぱりこの2人は変だ。
よくこうして喧嘩するのに、すぐに仲直りをする。
ここは到底日帰りで来ることができる距離ではないので、ホテルを予約している。
彼女たちはここから少し遠いそこに向かって歩き始める。
私は3人に声をかける。
相変わらず彼女たちは煩い。
でも、嫌じゃない。
私は3人に「分かった。じゃあ、またあとで」と伝える。
…歩き出した3人を見る。
楽しそうな瑞希の横顔、それを見て怒る絵名の横顔。
そして2人の間で戸惑っている奏の横顔。
全部、大切だから。
だから、私は振り返る。
桜に向き合う。
正確には、桜の向こう側にいる彼女たちに。
私は1人ずつ、名前を呼んでいく。
彼女たちの方を向いて。
的確に。
彼女たちの、その名を。
紡いでいく。
私は彼女たちにとある言葉を言い残し、その場を去った。
彼女たちの顔が、頭にこびり付いて離れなかった。
アンケート
紫の他に
青
6%
緑
0%
赤
11%
黄
0%
蜈ィ縺ヲ
72%
何もない
11%
投票数: 18票
アンケート
青天
0%
新緑
0%
赤熱
23%
黄跡
23%
紫光
54%
投票数: 13票
も
じ
ば
け
は
「
す
べ
て
」
アンケート
青天
7%
新緑
0%
赤熱
0%
黄跡
0%
紫光
7%
蜈ィ縺ヲ
87%
投票数: 15票













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。