前半戦……
試合は順調。
いつも通りボールを追いかけ
いつも通りにシュートを決める。
そしていつも通り
歓声が心地よい。
2点先制。
順調。
2点目のゴールを決め
歓声が響く中見つけたんだ。
ベンチに腰かける
2人の姿。
目……合ったよな。
莉月?。
どうして逸らす。
あいつの横にいる莉月はいつも笑ってた
仕方ないなっていいながら
見たことも無い笑顔を見せるんだ。
ずっと見てきた。
俺はずっと。
いつもどこかほっとけなくて
どうしようもなく可愛く映る。
なのにどうして今日は
そんなに不安そうな顔をする?。
ああ。
俺のせいか。
-----------------------
あいつの笑顔を奪うくらいなら
いっそ……
俺はゴールを外した。
ゴールスレスレのポールを放ったんだ。
コントロールするのなんて……簡単だった。
いつものように決めれば良いだけだった。
断るのが下手な莉月なら、
きっと俺のところに来るんじゃないかって
強引に約束をさせた。
でもそれはきっと
俺の自己満足でしかないんだよな。
---------------------------
お前の笑顔を奪うくらいなら。
”ドンマイドンマイ”
友人が叩く肩におれは申し訳なさそうに
そう呟くしか出来なかった。
ごめんな。莉月。
でも俺
当分諦められそうにねぇや。
-to be continued-
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。