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第1話

咲けぬまま散れた私の幸せ
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2025/12/14 05:30 更新


咲けぬまま散れた私の幸せ






ーー勝って嬉しいはないちもんめ

負けて悔しいはないちもんめ

「あの子が欲しい」

「あの子じゃわからん」

「この子が欲しい」

「この子じゃわからん」

「相談しよう」

「そうしよう」ーー






活気ある町の一角の

薄暗い部屋で息を殺す

一挙手一投足見逃すことなく

でもバレないように

静かに顔伺う






あの人が動いたのなら

息を止め

ただ時が過ぎるのを

待つだけ

どんな音が聞こえても

どんな痛みを感じても






眠るとたまに思い出す

あの頃あの時の暖かさ

決して裕福では無いけれど

幸せだったあの頃を







昔はいつも信じてた

これを乗り越えれば

あの頃の

暖かな幸せなあの家族が

迎えてくれるのだと

あてもないのに信じてた






けれども夢は

儚くて

だあれも助けに来てくれぬ

気づけば涙も乾ききり

心もゆっくり冷えてゆく









ここの○○ちゃんが

逃げたんだと

大人の人が騒いでた

今日はいつもより

より一層

鈍い音が耳を刺す






○○ちゃんは未だに

探していても

見つからない

もしかしたらば

違う名で

咲いて散る花

咲かせたか






誰にも真相はわからない

わからないけど

少ないけれど一筋の

か細い希望光る







丑三つ時の静かな夜

屋根をつたり

逃げようと

足を伸ばすも

届かず

足を滑らせ

おっこちた








もしかしたら

こんなのが

一番楽で

幸せな

散り方なのかと

楽しくもないのに

何故だか今までで

一番の

笑みこぼす








あぁお母さん

お父さん

最後くらい

私に一言

喋り返してくれたなら











〜解説〜
はないちもんめには江戸時代、女の子の売り買いが多かった頃の人買いの曲だという説があります。
売られる子はこんな生活をしてるのかなと思いながら書きました。

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