ここはどこだろうか……潮の匂いがするから海の近所だということはわかっている。地味な揺れも感じないから船の中では無い……はずだ。私がいる場所は何も置かれていない部屋で、扉だけがある。まだ気を失っている振りをしてできるだけ多くの情報を読み取るために視線だけで周りを見渡す。
見える範囲に監視カメラ、盗聴器などの類はなさそう……なんか……抜けてない?普通は監視しない?なんて思っていれば声が聞こえてくる。
ベルモット……と言えば一度会って、私に嫉妬心を教えてくれたお姉さん?なんて思っていれば足音が二つ聞こえてきてこちらに歩いてくる気配がする。気絶した振りのまま様子を伺っていれぼ足音は扉の前で止まり、手すりが回り中に入ってくる。
なんて声をかけられるが、私はまだ気絶した振りを続ける。
なるほど……話からすると…………えっと………………ナンチャラコンチャラ許可証が欲しいと……そのために私を囮にして金品?交渉すると……
ふむふむ。なるほど…………結果から言えばここには誰も来ない。異能……ナンチャラ許可証は異能力所持者や異能力を使って何かをしようとしている人達は喉から手が出る程の高価なものだと言っていた……気がする。
だとすれば……やはりここには誰も来ない。よし、逃げよう……久しぶりに拉致監禁されたから少しドキドキするが…………まぁ、なんとかなるっしょ!
なんて思いつつ、背後で手錠を嵌められているので、何かあった時ように真夏なのにあえて着ていた長袖の裾に隠しつけていたヘアピンを取り後ろ手で外す。ここはあえて片方はつけたままにして、足を縛る縄を解く。
こきこきと腕を鳴らして足音を立てずに扉に歩み寄り、ソッと扉を開けて周りを見る。
嘘でしょ!?監視する部下の一人もいないの!?と思いつつチャンスとばかりに部屋の外に出る。……ってか、鍵ぐらい閉めなさいよ…………と、少し哀れに思い、誰もいなくなった部屋の扉に鍵をかけてあげた…………












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。