第4話

Second day
1,623
2021/12/08 15:12
___10月11日___
シルク
うーん、今日どうしようか。
今日は休み。なにもすることがない。

いつもなら各自、好きなことをするのだがモトキが赤ちゃんなため放っておくことができない。
マサイ
……普通の家族みたいに3人で出掛けない?
シルク
お、いいね!準備して出掛けるか!!
踊り出しそうなほど跳ね上がるシルク。
シルク
モトキ〜♡お出掛けだってー!楽しみだな〜♡
モトキ
うーっ!キャッキャッ
興奮してモトキを高い高いするシルク。
……ちょー可愛い。食べちゃいたい。
自分も楽しみだと思いつつ、良からぬことを考えていた。
最近休みがなかったし、編集に追われてたからなー。息抜きにちょうどいいかもと思い提案したが、2人とも嬉しそうで良かった。
シルク
よし、準備できたし、出掛けるか!!
出掛け先は近くの動物園。徒歩20分くらいの場所である。
紅葉も楽しむという目的で歩いて向かった。
シルク
………ここ来るの久しぶりだなー。
シルク
めっちゃ、懐かしい…
マサイ
だよなー。久しぶりだな。
最近パンダの赤ちゃんが生まれたこと以外、園内は何も変わらなかった。

懐かしみながら園内を周った。
モトキ
まんま、まんまっ!!
マサイ
っと、腹へったのか……シルク、そこのベンチで休むか。
シルク
おう。ちょっと待って。ミルク作る。
そう言い、カバンから必要なものを取り出し、ミルクを作るシルク。
シルク
はい。
マサイ
サンキュ
作ったミルクをモトキの口に運んでいく。
モトキ
ごきゅ、ごきゅっ
相変わらずの飲みっぷり。シルクが作ったからなのか今日はよく飲む。
シルク
おれたちもお腹すいたし、なにか食うかー。
マサイ
じゃあ俺、近くで何か買ってくるよ。何か欲しいものあるか?
シルク
いや、特にないぞ。マサイの好きなものでいい。
マサイ
分かった。じゃあ、行ってくるからモトキよろしく。
シルク
おう!




うーん。やっぱ昼飯、作っておいた方が良かったかー。
そう思いながら、近くのコンビニで弁当やら飲み物などを買い、2人の待つベンチへ戻ると……
モブ
お姉さん、可愛いねー?
モブ2
俺たちと遊ばない?(笑)
知らない男2人がシルクに詰め寄っていた。
シルク
いや、おれ人を待ってるし、それに赤ちゃんも………
モブ
赤ちゃん?そんなのこいつに任せて俺といいことしようぜ〜?(笑)
モブ2
おい、お前だけずりぃよ(笑)
右に立っていた男がシルクの手を掴んだ。


すると、モトキがシルクの身の危険を感じたのか
モトキ
うあーっ!!
大声で泣き始めた。
モブ2
おっ、おい!まずいんじゃないか…?
モブ
チッ、うるせぇなぁ!
モブ2
おい!他のやつらが見てるぞ!!
モブ
…………チッ、面倒なことになる前に逃げるぞ。
モブ2
あ、おい!

シルクから手を離し、立ち去る2人。
くずおれるようにシルクが地面に座りこんだ。
マサイ
シルクッ!!
シルク
マ…サ、イ………
マサイ
すまんっ!大丈夫だったか!?
シルク
え、あ、うん………
マサイ
本当、ごめんな。守ってやれなくて…
2人まとめて抱きしめた。

シルクの体がすごく震えている。
さらに強く抱きしめた。
シルク
…モトキが、代わりに守ってくれたから………おれ無事だったよ。
マサイ
そっか……モトキすごいな。
モトキの頭をなでながら
マサイ
ありがとな…シルク、守ってくれて。
そうつぶやくと、嬉しそうに笑った。
マサイ
………とりあえず、もう帰るか。動物園も見周ったことだし…
シルク
……そうだなー。楽しかったな、動物園。
そう言いながらも、シルクの手はかすかに震えている。
俺は無言でシルクの手を握った。
かなり怖い思いをしたのだろう。わずかに体を俺の方に傾けている。
彼女の目は涙でうるんでいた。



帰宅後、お互い少々ぎこちないまま過ごし、その日を終えた。

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