名札を見て、すぐ、助けなければ
いや、行かなければ
そういう思いに襲われた
避難先はまだ遠い、でも、大丈夫
そう思って駆け出した
後ろから
『なんで?』
『え?』
『何かあったのか?』
等声が聞こえてくる
そう叫んで走った
救助隊が来ているのかは知らないし
分からなかったが先生が心配だった
瓦礫をあげたら先生が居た
もう、鼓動が弱くなっていて
分かった、これは、助けられない
ここで死んだら先生の身分がわかる
その結果どう世間に晒されるか分からない
必死で心臓圧迫をする
1分に120回
そして人工呼吸
もう、助けられない事くらい分かっていた
脳内では、分かっているんだ
だけど、だけど、助けたかった
瞬間、激痛が体を走る
この痛みを、俺は知っている
痣が伸びた
なぜかは分からない
でも、
と、半ば自暴自棄になりながら叫ぶ
結果、伸びた
全て伸びて、眼球まで飲み込んだ
そして、見えたのは
先生が俺の見るよな夢を見ているということ
こういう事ができるのは、kozaka_cの中でも実験を重ねられていたあの子しか居ない。
…なんで?
そんな思考があったが考えている暇はない
あの子が、あそこから救い出してくれるならなんだっていい
我武者羅に先生の手当をする
自分が置いていった患者のことなんか考えずに
この惨状がどうかなるのを待つだけ
建物が崩れて、電柱が倒れて、街が半壊して、積み重ねてきたものが一気に崩れていく
これでも最小限の被害で済んでいるけどそこで住んでいた人は軽い気持ちじゃすまなくて
これからの生活にみんな不安になって
そんな景色
刹那、後ろからポン っと方を叩かれたような気がして勢いよく後ろを振り向く
でも、そこには誰もいなくて
目にしたのは、
『
自分が置いていった患者たちの
悲惨な姿
』
死人が出ていてもおかしくない、そんな感じ
聞いた事がある、こういう精神的局面に立たされている人達のなかで1人でもパニックを起こせば皆それにつられていく。逆に言えば1人でも冷静でいれば皆冷静を保てる。
今回の場合、前者だったのだろう
俺が離れたことで「怪我しても直してもらえる存在」として居た者が消え、「必ず生きて帰れる」という最低保証を無くしたのだ
結果のパニック
パニックになったからあと10歩も歩けば着く安全地帯の所まで辿り着けなかった
俺のせい、俺が先生を助けたせい
思考が最悪な方雨に走っていく
…まぁ、「今の自分」には関係ない事か
また、逃げればいい
姿を変えればいい
ただの偽りに過ぎない人格に、何本気になってんだ
そう思うことで冷静を保とうとするがいくら今の生活が偽りだとしても、「命に偽りはない」という事実が目の前に立ちはだかる
気持ちの大半は 俺のせいでこうなった と、責められないだろうか
そんな利己的なことなのにも虫唾が走る。
もう、近づくことすら憚られる。
見放した俺が、また行った事で不安な気持ちを増やさないだろうか。
どうせ置いていかれるとか思わないだろうか
いっそ、俺もここで死んだことにしようか














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。