目の前には、大きな建物。
そして、目の前には2人、男の人が居る。
社長と呼ばれたその人は、私の姿をじっと見る。
その言葉は、純粋な敬意に聞こえた。
この特異な色を気にしないかのように。
…病院での酷い記憶が浮かぶ。
…少しでも、こういう態度で居ないと…
私はこうして、芸能界で生きていく事になった。
あまりにも突然過ぎる事だったけど、私は、これが自分の生きる道だと受け入れた。
それから、私は事務所の人達と関わるようになっていった。
紅璃さんや社長以外で特に印象に残っていたのは…
何か会話に違和感があった気がするけど…
その人は、私の親友となる人物の母親だった。
私の演技の腕が上達して来て、2歳と半分くらいになった頃…また、あの人と会う機会があった。
私に、親友と呼べる存在ができたのはこの時だった。
…思えば、私の人生で、心の底から友達だと呼べる存在は、彼の他には数える程しか居ないだろう。
同世代であり、お互い演技の腕が大人にも劣らないという事もあり、彼と共演する事も多かった。
2人の天才子役として、業界で最も輝く立ち位置に居た。
業界ではライバル同士で、人気は対抗していたけど、私と彼はずっと友達だった。
3歳くらいの時、ある日の夜中、寝付けず事務所の中を歩き回っていた。
…部屋から声が聞こえる。
そして、忘れないだろう、5歳の時のこと。
"私"と言う存在が生きた記憶を、記録を残すこと。
それが私の生きる理由。
嘘まみれの偶像でもなんでもいい。
私はこの場所で生き続けるんだ。
































編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。