第25話

.*・゚8話.゚・*.🌎
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2025/05/03 09:00 更新

きんとき
(...そういえば)



きんとき
(ぶるーくってああいう事言うことに抵抗ないのか?だったら俺以外にもあの愛を振りまいている可能性だってある)
きんとき
(...そう考えるとイライラしてきたな)
きんとき
(今まで、ぶるーくの傍にいたあいつらにも言ってたら俺.....殺すだけじゃ物足りなくなっちゃう)
きんとき
(...くそ、本当に罪深)


ぐるるる...

ぶるーく
...あッ

きんとき


俺が恥ずかしくて何も言わないまましばらく歩いていたところ、沈黙の中に大きなぶるーくのお腹の音が鳴り響いた。

...はは、お腹空いたんだ...可愛いなぁ

ぶるーく
...何か食べるものない...?
きんとき
と思って今探してるんだけど...
ぶるーく
...ごめん...
きんとき
いいよいいよ、そっか、人間ってお腹減るの早いんだね
ぶるーく
...

ぶるーくのお腹の音が可愛すぎて、俺は表情も言葉も綻んでしまい、笑顔でポケットの中身を探ってみる。

...あ、なんかの袋ある、何だっけこれ...

きんとき
(...あぁ、地球に行く前に作ってくれたシャークんのحلوياتお菓子か...)

きんとき
...俺の食べかけ、というか開封済みのものしかないや...
きんとき
それでもいい?

ぶるーく
いや、大丈夫...ありがとう
きんとき
良かった良かった
きんとき
はい、人間で言うとグミ...みたいな感じかな?

シャークんが作ってくれたそれを、俺はぶるーくの手のひらの上にそっと乗せる。

...何だっけ、"本"と"サメ"と"マイク"だっけな?

シャークんが地球の調査の時に好きになっていたものの形を象ったもの、らしい。


シャークん
"はいっ、兄ちゃん!"
きんとき
"...何、これ"
シャークん
"أزرقのあだ名に似たものと、俺の名前のものと、兄ちゃんが好きそうなものの形でお菓子作ったの"
シャークん
"あっちで食べて"
きんとき
".....ありがとう"
きんとき
"(腹が減るぐらい時間かけるつもりはないけど...まぁ、美味しそうだしいいか)"



ぶるーく
!!??すっっっっぱ!!!

きんとき
......あ〜〜〜...
きんとき
確かに人間には酸味が強かったかな...次第に食べてると甘くなるはずだからいっぱい食べな
ぶるーく
うん...ッ!!

...まぁ、俺らと同じ食べ物を食べるってことは、俺らの細胞を作る元がぶるーくの体に入るわけで...

さっきまでは食べられなかったこのお菓子も、食べれば食べるほどぶるーくの体が順応してきて、食べられるようになる、という仕組みなんだよね。

多分。


...という訳で、ぶるーくは噛めば噛む程お菓子を美味しそうに食べるようになった。

きんとき
美味しかった?
ぶるーく
うんっ!きんときありがとね
きんとき
気にしないで

可愛いものを見て、俺のさっきまでのモヤモヤは晴れていった。












きんとき
ぶるーく、信号はこっち側にあるから...あと5分くらいで着くよ
ぶるーく
...
きんとき
ぶるーく?
ぶるーく
う、うん!わかった!
きんとき
...?

何だか、ぶるーくの足取りが重くなっている。

...心拍数、血圧も、正常値から大分離れた値になってしまっている。

でも、そんなこと直接聞いたら気持ち悪がられてしまうかもしれない。オブラートにもう少し包んで...

きんとき
大丈夫?顔色悪い、...

俺が顔色の悪いぶるーくを心配した、という体にして声をかけた瞬間、俺の肩にぶるーくの頭が乗せられた。

その瞬間細胞全部が跳ね上がりそうな程にびっくりしたが、地球人が倒れるってことは相当な体調不良に陥っているということに気づいて、急いで切り替えた。

きんとき
...ぶるーく、ぶるーく...!?

ぶるーく
…はッ、はぁっ、はぁ…

ぶるーくは、俺に抱きついて肩に頭を置いたまま、耳元で過呼吸気味に息を吸ったり吐いたりしている。

距離の近さで俺の心臓もキャパオーバーしそうだが…んなことよりぶるーくが死んじゃったら元も子もない。

…俺らの細胞の変化が速いばかりに。

きんとき
苦しいよね、大丈夫、
大丈夫だからね…っ
きんとき
 ‎الخلايا، استمع إلى صوتي細胞たちよ、俺の声を聞いて
きんとき
 ‎ليست هناك حاجة للتسرع في التغيير焦って変化しなくてもいい

そう声をかけると、従順な俺たちの細胞はちゃんと言うことを聞いて、ぶるーくの過呼吸は段々と治まってきていた。
 
ぶるーく
…?、?…

きんとき
…ぶるーく?楽になれた?
ぶるーく
…うん…ありがとう、きんとき…
きんとき
…よしよし

ぶるーくのことをぎゅっと抱きしめて、右肩のぶるーくの頭をそっと左手で撫でてあげる。

…あぁ、ふわふわの髪。髪の毛は、まだ純粋な地球人だった時と同じだ。

あぁ、本当に愛おしい。

きんとき
…ぶるーく、ちゃんと辛くなったら俺に言うんだよ
ぶるーく
…ッ、ごめん…

ぶるーくはそっと俺から離れて、泣きそうな顔を自分の腕で隠した。

そして、少しだけ涙を拭った後、俺に対してにぱっと笑いかけ、俺の手をぎゅっと両手で握った。

ぶるーく
…もう大丈夫だよっ、ほら、行こ
きんとき
…ん〜…
ぶるーく
…きんとき?

…ぶるーくの体が今変化中だということを考慮すると、無理に動かすとまた体調不良に陥るかもしれない。

内蔵が変化するということは、運動してあえて活性化するようなことは避けた方がいいだろう…それに、足取りがふらむいていたり体幹が弱くなっているようにみえる。

そう、ぶるーくの体をじっと見つめながら考える。


…それなら、俺がやることはひとつだ。

ぶるーく
僕なら大丈夫だから、早く…ッ!?
ぶるーく
っちょ、お、下ろして…ッ!
きんとき
…まだふらついてた

ぶるーくは自覚していないだろうが…俺に抱えられた瞬間、顔を耳まで真っ赤にしていた。

いや〜〜可愛い、役得役得。

俺に対して抵抗しようとしたのだろうが、やっぱり自分でも体の不調を感じていたのだろう、ぐっと言葉を飲み込んで俺に体を預けた。

ぶるーく
…ありがとう
きんとき
ううん、気にしないで
きんとき
それより、元気になれるように俺が歌いながら歩くから、ちゃんと聞いててね

…細胞たちは、俺の声が大好きだ。

だから、ぶるーくが知らない間にゆっくりゆっくりと体を侵略していくようにするために、俺は歌う。

きんとき
〜♪〜♪

ぶるーく


…ぶるーくも、半分以上がもう俺らの細胞と一緒だからか、心地良さそうな顔をしている。





きんとき
(…待っててね)
きんとき
(俺たちの幸せな未来)










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