第27話

.*・゚10話.゚・*.🌎
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2025/05/17 09:00 更新

きんとき
ぶるーく

…一応、雰囲気を出しておく為に黙っているが…ぶるーくはどうも気持ちが落ち着かないようで、下を向いたままだった。

俺は少しでもぶるーくが俺の優しさに溺れてくれるようにと、傍にいて頭を撫でたりしているが、本来の目的には気づいてくれないようだ。

きんとき
(…鈍感め)
ぶるーく
…ッ、ゔぅっ、なかむ…ッ、なかむ…
きんとき
…(また彼奴か)

…子供のように泣かれちゃ、俺も困る。

きんとき
…ぶるーく
ぶるーく
…?
きんとき
俺、シャークんと通信してみるから、その…"なかむ"っていう奴と話してみる?
ぶるーく
……えッ、で、出来る、の…?
きんとき
……任せて

超〜〜絶不本意だが、俺は彼奴と通話を繋げてやることにした。

一応、なかむの名は知らないっていう体にするために、ちゃんと知らないふりをしておいた、俺偉い。

きんとき
…はぁ
シャークん
"兄ちゃん?どうしたの?"
きんとき
"シャークん、今なかむと繋げるか?"
シャークん
"…つ、繋げるけど…"
きんとき
"けど?"
シャークん
"ぶるーくと話す為なら、今なかむは俺らと同じ言語しか喋れないから、厳しいかも…"
きんとき
"…"
シャークん
"…あ!そういえばなかむに似たロボットを作ったんだ、それと繋げるよ!"
きんとき
"!…あぁ、了解"

流石シャークん、話が早い。

きんとき
…繋がったよ、短い時間だけならって
ぶるーく
!、あ、ありがとうっ!

俺は自分のインカムをぶるーくに付けさせ、何を喋るかを近くで聞いてやるためにデコをくっ付けた。

思った通り、ぶるーくが狼狽えた。

狼狽えれば、ちゃんとした応答も出来なくなる。そうすれば、情報が得られずに、"話す"ことだけが達成出来る…そうなるはずだ。

ぶるーく
!な、なかむ…!
 
きんとき
(…はぁ)

きんとき
(…俺が、1人で君だけのことを考えていた間、ずっと君は他の地球人たちと心を通わせていたんだね)

きんとき
(…でも、もう大丈夫、君のことを覚えている地球人は、きっともうこの世にいない。)

きんとき
(これからは…これからも、俺は君だけを。そして、君も俺だけを、ずっと愛し続けていくんだ。)
きんとき
(俺が君に……何をしようか。それより、あわよくば、ぶるーくが俺に溺れて…)

きんとき
(……ッあぁ、酷い熱があるみたいだ、悪いことしか頭に浮かばない。)


ぐ、と眉間に皺を寄せて、1人だけで冷静になろうと目を閉じて考えていた。

すると、ぶるーくがぱっと俺から離れて、明るい笑顔を見せた。

ぶるーく
…きんとき、ありがとうっ
きんとき
…ん、終わったみたいだね
きんとき
…なかむくんと、良いお話は出来た?

俺はぶるーくの耳からインカムを外しながら問いかけてみた。

…一切、ぶるーくがなかむと話している言葉を聞かなかったから急いで聞いてみた、が。

これで万が一なかむロボットとの会話が上手くいって、なかむへの想いがより一層強くなっていたらどうしよう、と聞いたことを後悔してしまった。

ぶるーく
…なかむと話せて嬉しかった、けど…
きんとき
けど?
ぶるーく
ち、ちょっと話す時間が短かったかな…
きんとき
あ〜…
きんとき
あっち側に事情があるらしくてね…このインカムはしようと思えばどれだけ遠くの人とでも複数の人とでも繋げるんだけど
ぶるーく
…そっかぁ…

…なかむが本物ではないと諭さないようにするために適当な理由をつけたが、ぶるーくは単純すなおだから俺の言うことをそのまま信じてくれた。

…なかむとの話は盛り上がらなかったようだ。良かった良かった。

ぶるーく
…きんとき!早く侵略を止めよう!
きんとき
ん、ちょっと待ってね…
きんとき
…ここら辺の信号は無いから、次の場所に行くんだけど…
ぶるーく
…?

きんとき
どうやら、次が最後の信号みたいだ

まぁ、信号も何も、ぶるーくの周辺の人間を全員殺し終わって、ぶるーくもほとんど俺らと同じ細胞に変わってきたから切り上げる、ってだけなんだけど。

俺は、仲間たちの位置情報が載っているタブレットを見ながら、しばらく焦点をそこに当てる。

きんとき
(…ぶるーくは察しが良いから、これ以上地球に居ると俺らの真の目的に気付くかもしれないから、もう俺らの侵略は終わらなきゃいけない)

きんとき
(…二人きりの時間も、もう終わりか)

きんとき
(…俺とぶるーくが正式に婚姻関係になるのは嬉しい、けど…やっぱり、心に引っかかっちゃうよな)

ぶるーく
…っ、きんとき…
きんとき
え゛ッ…ぶ、ぶるーく…?

ぶるーくの事をずっと考えていたら、急にそのぶるーくから優しく抱きしめられた。

気づくと、ぶるーくの顔が俺のすぐ隣にあって、最初に会った時のような小動物のような感じは無く、対等に思えた。

…あれ、ぶるーくってこんなに大きかったんだ。

ぶるーく
…きんとき、そんな顔しないで
きんとき
…え…、
ぶるーく
僕たちがしてる事は、なーんにも間違ってないんだよ
ぶるーく
だから安心して?僕もついてるから
きんとき

…ぶるーくながらに、俺の事を元気づけようとしてくれたんだろう。

俺、自分の表情はあっちの星では"ポーカーフェイス"とか言われるぐらいに硬かったんだけど…君がいたから、表情も変わりやすくなったのかな…

まぁ、そのせいで今心配されてるんだけどね?

きんとき
ごめんね、心配かけちゃったね?

頭を撫でようとすると、ぶるーくはその俺の左手をガッと掴んだ。

びっくりしてぶるーくの顔を見ると、ぶるーくは今まで見たこともないような歯をくいしばって鋭い目でこちらを見て来ていた。

ぶるーく
…〜〜っ、きんとき!
きんとき
ぶるーく
僕は、きんときに頼って欲しいの!
ぶるーく
っそ、そりゃ、きんときからしたら弱くて頼りないかもしれない…けどっ!
ぶるーく
僕だって、きんときのこと大事に思ってるんだからね!
きんとき
…そっ、か…
きんとき
…そうだね、今は俺だけじゃないもんね

きんとき
…ッありがとう、ぶるーく…っ

ぶるーくに抱きついて、肩に頭を擦り付ける。

…あぁ、やっぱり。ぶるーくは、本当に…!!
 
そうだよ、俺が1番分かっていたじゃないか。
ぶるーくが、この世の誰よりも優しくて、俺のことを真っ直ぐ考えてくれる子だということを…!

懐かしい記憶を思い出して泣きそうになってしまったが、ぐっと涙を堪えて、いつもよりも自然に笑顔を浮かべた。

きんとき
っじゃあさ!最後に、俺のわがまま聞いて!
ぶるーく
ん?

きんとき
俺と、この東京の空で踊って!

ぐ、っとぶるーくの右手を左手で引っ張り上げて、空の上へ上へと高度を上げていった。

ぶるーく
…え!?
きんとき
ふふ、ぶるーくが嫌だって言っても、俺は知らないからね〜?
ぶるーく
い、嫌じゃないし!
ぶるーく
僕ダンス得意だから、完璧にきんときをエスコートしてあげるよ!
きんとき
は〜?ぶるーくに出来んの?
ぶるーく
ば、馬鹿にすんなしっ!

きんとき
…っはは、
ぶるーく
あははっ!

その、花のような鮮やかな笑顔を見て

…ふと、昔の事を思い出した。











أزرق
きんときーっ、あそぼー!
きんとき
…ごめん、おれやることあって
أزرق
…きんとき、いつもいそがしいね
きんとき
…しかたないよ
きんとき
だっておれ、…おれ、は...
きんとき
أزرق
…わっ、ごめんね
أزرق
じゃあ、ぼくがそばにいるよ
きんとき
…いや、いいよ…
أزرق
しずかに
أزرق
いま、ぼくにできることってそれしかないから…しかたないの!

أزرق
ぼく、きんときにたよってほしいの!





あれは、ぶるーくのことを学習させた偽物だった。

学習したことしか出来なかったから、小さい頃は騙せたとしても...俺の立場が変わることになった時は、自分で決断が出来なくて、そのまま同じことをしたから、俺に見破られてしまったけれど…

きんとき
(…ありがとう、ぶるーく)

君がこんなに優しかったから、俺はここまで来れたんだ。







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