【After Story -穏やかな新婚生活-】
リビングに差し込む朝の光は、以前よりもずっと優しく感じられた。
壁には、二人が一緒に選んだ写真立てが並び、キッチンにはフィリックスが好きなマグカップが置かれている。
当たり前の風景が、何よりも大切な証になっていた。
そんな他愛もない会話が、結婚してからの日々を彩っていた。
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休みの日には、二人で買い物に行く。
スーパーで「どっちのパスタにする?」と真剣に悩んで、結局両方買ってしまう。
帰り道、袋が重くてフィリックスが小さく文句を言うと、ヒョンジンは笑いながら全部持ち上げてしまう。
そんなやりとりに、周りの空気まで柔らかくなる。
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夜は、二人だけの小さな世界。
ソファに並んで座り、映画を観ながらフィリックスがうとうとし始めると、ヒョンジンはその頭を自分の肩に預けさせる。
その言葉に、胸がじんと熱くなる。
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結婚しても劇的に変わったわけじゃない。
むしろ変わらない日常が、二人の絆をより確かなものにしていた。
「ただいま」と言えば「おかえり」が返ってくる。
食卓に二人分の皿が並ぶ。
眠る前に「おやすみ」を交わす。
――そのすべてが、夢にまで見た穏やかな愛の形だった。













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!