第4話

初めて聞いた、君の声
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2025/05/04 08:37 更新




彼女が読む本は、日によって違う。






時には目を引くような鮮やかな表紙の本だったり、 時には静かに物語を語りかけてくるような、シンプルな装丁の本だったり。







真剣な眼差しで、一文字一文字を追う彼女の横顔を見ていると、物語の世界に深く浸っているのが伝わってくる。










その集中した横顔を見ていると、











僕の心も静かに落ち着いていく。


















ある朝のことだった。







いつものように彼女を見ていたら、彼女が読んでいる本のタイトルが、ふと目に飛び込んできた。

























『きらめく星の下で』


























その瞬間、僕は自分の目を疑った。
















それは、僕が何度も何度も読み返し、ページが擦り切れるほど大切にしている、























特別な物語だったから。





























信じられないような偶然に、心臓がドキドキと高鳴った。











運命、








なんて言うのは照れくさいけれど、胸はドキドキと高鳴っていた。














こんなにも近くに、僕と同じようにこの物語を大切に思っている人がいるなんて。








これはきっと、ほんの少しの勇気を出すチャンスだと思った。

















そう思った瞬間













自分の中で、今まで感じたことのない強い衝動が湧き上がってきた。




















この気持ちを伝えたい。
















同じ本が好きだってことを



















ただそれだけでもいいから、彼女に伝えたい。


















でも、どうやって?








今、声をかけるべきか?


















彼女は読書に集中している。邪魔をしてしまうかもしれない。










心の中で、様々な思いが渦巻いていた。








緊張で手のひらがじっとりと汗ばむ。










深呼吸をしてみるけれど










ドキドキはなかなか収まらない。







電車が次の駅に、ゆっくりと滑り込むように停車する。














僕は、握りしめた手に少し力を込め、そっと息を吸い込んだ。

















そして、意を決して













彼女に声をかけた。
























「あの……」


















彼女は顔を上げ





少し驚いたような表情で、僕を見た。











朝の光が










彼女の透明な瞳に、




きらめきを与えている。













「もしかして、その本……『きらめく星の下で』ですか?」













彼女は、一瞬、不思議そうな顔をしたけれど








すぐに、春の陽だまりのような








優しい微笑みを浮かべて、









「はい、そうです」









と答えた。
















その声は、想像していたよりもずっと優しくて、心にじんわりと染み渡るようだった。












「僕も、その本、すごく好きなんです」












僕の言葉に、彼女は少し目を丸くして

















「え、ほんとですか?」と














純粋な驚きの色を浮かべて言った。






















初めて言葉を交わした、僕と彼女。

















まだお互いの名前も知らない











クラスも違うけれど







僕たちの間には














『きらめく星の下で』という、たった一つの共通点が





















温かい光のように灯った。















この小さな出会いが








これからどんな物語を紡いでいくのだろう。














期待と







ほんの少しの不安が
















僕の胸の奥で、






























そっと芽生え始めた。

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