ある時、
慎太郎から連絡が来た。
いつもなら、許可をとってから来る慎太郎が
今日は唐突に来るらしく
少し驚いた。
この時、まだ俺は知らなかった。
…なぜ、唐突に、慎太郎が訪ねてきたのかを。
それを知っていれば…この先も、少し変わったのかもしれない。
慎太郎は、昔と変わらず、元気で。
慎太郎は、ニコニコ顔をしまって
真面目な表情になった。
…こんな顔をする時は、大体裏に何かがある時。
俺も、自然と姿勢が引き締まる。
その先を聞くのが
なぜか怖かった。
なぜかは…わからないけど。
そこまで行って、スゥ…と、息を吸った慎太郎は
慎太郎は、それだけ言うと。
車の鍵をもって、帰ってしまった。
残されたのは
俺と、あの言葉だけ。
「あなたの名字が可哀想じゃん。自分の性格や、着たい服を変えて、メイクまでしてなるべくあなたに似せてる。」
…ああ。確かにそうだ。
俺は…あなたのことを捨てきれず、
あなたさん(あなたの名字)に…迷惑をかけてしまった。
…あなたさんの素の笑顔に、
鈴の音のように笑う声が、
優しく励ましてくれる声が、
俺のことを、ぎゅっと掴んで、離してくれないんだ。
…もしかしたら、もう、
その時、窓を開けていないのに、微かな風が吹いて
そういう、声が聞こえたような…気がした。
そして、俺は…
“あのところ”に、あなたさんを呼び出した。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。