にこぉっと笑った顔がこちらに手を伸ばし、エヘーと手を取られる。
上下にそれを少し振り、顔をあげられた。
こちらを完全に見ている。
私はまだ、彼の顔がちゃんと見れない。
素直でいい人なんだろうけれど、なんだか危ない匂いがする気がして。
なんだか私ごときが何かを感じとっちゃいけない気がして。
総悟が間でその手を割って入ってくれたので、黒い隊服に顔が埋まった。
良かったかもしれない。
私は正直、彼がとても苦手だ。
小太郎の根っからのバカな感じとも、晋助の厨二天才そうな雰囲気とも、銀のあの腑抜けた馬鹿さ加減とも違う。
真選組にもいない、分厚い皮を体にかぶせて真空にしてるみたいな人。
会話しずらい。
目の前の黒い服越しに会話を続ける。
こちらをのぞき込まないところ、多分私の気持ちも理解しているようだった。
背中越しに見えた指が指した方向、何人かの若いチンピラらしいチンピラが山になっていたのが見えた。
ちょっとだけだヨ、すっごいムカついたから、あれでチャラにしようと思うんだけど……なんて笑っているのか本気の声なのか分からない声色。
とにかくこの人が恐ろしいことはわかった。
売られた喧嘩は5000倍の値段で買う人だとわかった。
今日はもうそれでいいと思う。
見回りとか必要?これ以上の犯罪もどきある?
と、ふと後ろを振り返ると見知った顔を見つけた。
坂田銀時(27)
彼は恐らくスーパー帰りの犬の散歩をしている。
確かにこの道、真っ直ぐ行くと万事屋へたどり着く。
後ろを振り向いた総悟が銀に気づいて声をかける。
まずい、と思っているのは私だけだろうか。
神楽と血縁以外の可能性が考えられないような凶暴で怖い奴と、神楽の保護者である銀。
会わせちゃダメだと心が叫んでいるんだ。
えへ、なんかエモい文になっちゃった。
私は思わず、少し狭い道へと彼の手を引くと路地へ走った。
思わず、だ。
会わせてはいけないと思う、本当に。
もし会ってしまったら2人とも顔色を変えてお互いに飛びつくと思う。
なぜだかその光景が頭に浮かび、足も少し早くなった。
引く手が何も意思を持たず、だらんと預けられて。
引いていた手をいきなり引っ張られ目の前に少年の顔が来る。
びっくりして少し身を引くけれど、私が持っていたはずの手は私の手首にガッチリ着いていた。
首を傾げると、高い位置で結んだ髪が揺れた。
それを少し細い目で見た少年はニヤリとした笑みを浮かべ、顔を近づけてくる。
やべ、目合わせないようにしてたのわすれてた。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!