違和感を持ちつつなんだかんだ話は弾む。
少しだけ老けた銀と、私の会話はどのくらい不思議なものなのか。
黙り込んだ現在の銀は私とその老けた銀とを交互に見てため息をついた。
倒れ込んだままだった銀に目線を合わせるためにしゃがんでいだのを銀に持ち上げられる。
持ち上げ…ん?持ち上げられた。
ブーツを履き直した銀②はその場で体育座り。
私も銀に抱えられたままその場に座った、って言っていいのかわかんないけど乗せられた。
相変わらず元気なツッコミだなぁ、未来にいる私も元気にしてる…訳ではなさそうだけど。
展開を忘れている読者もいることだろう。
そんな人のため(自分もちょっと忘れかけてたけど)説明しよう。
まずこの物語は、
・私が精霊であること
・未来から謎の手紙が届くこと
がキーになってくる。
攘夷戦争時代、謎の手紙の束を開いたところ私の書く字体と全く同じ字体で次のような文章が多く見られたのだ。
「あなたは大丈夫」
「銀を信じて」
「あなたは間違っていない」
何かあった。
もしくはこれからなにか重大なことが起こる。
そう考えるのが正しいと私は思う。
自分を嘲笑うような、少し元気の無い顔が見えた。
今の銀はそんな顔をしようものなら周りがいくらでも叩いて殴って蹴ってシャキッとさせたりもするのだろうけど。
なんか老けた銀がその顔すると一気にほんと笑えなくなるな。
銀は膝に乗せていた私をその場に下ろすと、ゆっくりと立ち上がって伸びをした。
ちらりと目が合えば、どことなく何を言ったらいいのか分からない、どうしたらいいのか分からない、というのがよく感じとれて少し面白かった。
ふへ、と笑えば笑うななんて言われてもっと笑う。
こんな平和な日々が続いていれば良いけれど、多分そうもいかなそう。
少し息を吸い込む音が聞こえる。
目の前の顔と目が合うと、少し赤くなった目じりが見えてびくりと震える。
普段なら真っ赤になっている銀の顔が、真剣でずっと目を合わせてくるから逸らせずに、私はその言葉を噛み砕いて噛み砕いて飲み込んだ。
今ここで言うってことは、銀はこれくらいの言葉を私に言うことが出来なかったのだろうか。
なんだかそれを意識すると、胸がきゅっと締め付けられた。
言ってから、迷うようにして口を開いたり閉じたりした銀が、最後にごめんと付け足して口を閉じた。
あぁ、なんだよもう。
壁をどんどんと叩く音が聞こえて振り返る。
ずっと音してるから、本気でこっちの声聞こえないようにしてるわあいつ。
かわいいなぁ、好きだなぁ、
その一言が聞こえてまた元の方を振り返る。
悲しそうに下げられた眉毛が、これまで見た事ないくらいほんとに下がってて。
思わず私はそちらへ体を進めていた。
腕を広げて見せる。
ふと迷うように銀の瞳がきょろきょろ動いて、最後に私を見据えた。
この人が帰る未来には、もう私はいないのか。
そうか。
そういえば、総悟は出てこなかったななんて寝転がりながら思う。
恥ずかしかったのかな、それとももう会わなくていいのかな。
いや違うか、
約束しちゃったんだもんね、居なくならないよって。
私は雫だから、君のお姉ちゃんじゃないんだよって。
隣の寝息が聞こえて、遠のく意識の中。
私はそれだけ呟いて意識を落とした。
朝起きたらゴミ捨て場に居た件について。
これ漫画出そう。













編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。