第6話

第6話 月夜のライバル
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2024/06/16 10:30 更新










その後俺は、町外れにある2人の家に上がらせてもらった









食事と入浴を終えリビングに向かうと、杖を磨いているゆとりと窓際で本を読んでいるもるでおがいる









少し申し訳ない気もするけど、俺はさっきのことを聞いてみることにした









無音
…ふぅ〜お風呂気持ちよかったぁ
無音
ごめんね〜、ご飯も寝床も用意してもらっちゃって
ゆとり
ううん全然!
ゆとり
…ずっと2人きりだったからさ、初めてのお客さんにワクワクしてるんだよね〜俺w//
無音
…そうなんだ!w
無音
………………



トスッ… (椅子に座る)

無音
ねぇ、ゆとり…
ゆとり
ん〜?
無音
言いたくなかったら言わなくていいんだけどさ……
無音
さっき言ってた『嫌われてる』ってどういうことなの?
無音
なんで町の人達は2人のことを避けてるの…?
ゆとり
……………



ゆとりはうつむきながらもるでおの方を向いた




その視線を感じとったのか、もるでおはゆっくりと本を閉じ立ち上がる




そしてそのまま部屋から出ようとした




もるでお
…テキトーに話せば?俺はもう寝る
ゆとり
………おやすみ
もるでお
……………



バタンッ…

無音
…………
ゆとり
…………
無音
…怒らせちゃった?
ゆとり
…ううん、大丈夫
ゆとり
これは…だいぶ昔の話から始まるんだけどね



そうしてゆとりは寂しそうな表情で語り始めた














今から約数十年前……




各国で戦士や防衛団、組織が作られるようになると、人々のノイズに対する関心や意識はさらに深まっていった




町や人間を襲うモンスターを実力で仕留める彼らの存在は、やがて国からも重視されるようになる




しかしその一方で、彼らとは逆にノイズを信仰し邪悪な犯罪に手を染める極悪人も現れ始めたのだ




盗みや暴行、殺人などを繰り返しノイズの魔王を崇拝する




いつしか彼らは『裏切り者トレイター』と呼ばれるようになり、モンスターよりも恐れられる存在になってしまったのだ




そして、ここミューンの地にも危険人物視されている裏切り者トレイターがいた




彼は15という若さでノイズに対する信仰心を持ち、数々の犯罪に手を染め殺戮を繰り返した




身体能力が高く、知識と判断力に優れていたため止めることのできる人物がいなかったのも彼の強みだっただろう




そして死に際にはミューン城に侵入し禁断の魔導書を盗み取ると、その中に封印されていた最上クラスのモンスターを世に放ってしまったのだ




そのまま彼は大量の爆弾を身につけ、町の人々を巻き込み自害した




後にミューンの歴史上で最も恐れられる人物となり、今でもその教えが広められている




彼はミューンにとっての悪の象徴だった






























無音
でっ、でも!それは昔の話なんでしょ?!
無音
ソイツとゆとり達には何の関係性があるって言うのさ!!
ゆとり
……実はね



ゆとり
もるでおがその裏切り者トレイターの曾孫なんだ……
無音
……え?
ゆとり
血の繋がってる本当の曾孫
ゆとり
だから、昔からしょっちゅう酷い扱い受けててね〜
ゆとり
…それに俺が耐えきれなくなっちゃったw
無音
…………
ゆとり
アイツはなんにもやってない、なにも悪くない
ゆとり
ただ血が繋がってるってだけでみんなから恐れられて避けられて
ゆとり
酷い話だと思わない?
無音
……うん
ゆとり
まぁでも!もるでおだけが原因じゃないから!
無音
………?
ゆとり
前もるでおから聞いたでしょ?
ゆとり
俺には『魔女の血』が入ってるって
無音
あぁ…うん
ゆとり
魔女の血は通常の人間よりも遥かに濃くてね、どんな魔法でも最大威力の魔力が出せるんだ
ゆとり
だから、ハーフの俺でも力を伸ばせば



ゆとり
この町の人間全員殺せる
無音
………ッ
ゆとり
そんな力を持った奴が裏切り者トレイターの血を引く奴とつるんでたらどう思う?
ゆとり
いつ殺戮が起こるかわからない
ゆとり
誰もがそう言って騒いで避けるだろうね
無音
………
ゆとり
正直、君にはこの事を知られたくなかったし仲間になってほしくなかった
ゆとり
無音さんまで…俺らと同じような扱いされるの嫌だからさ
無音
………!
ゆとり
でも!あのもるでおが「仲間になりたい」って言ったんだ
ゆとり
チームメンバーに隠し事なんかしてちゃダメでしょ?w//
無音
………
ゆとり
だから、無音さんも俺たちを信用して!
ゆとり
邪悪な血を引く俺たちじゃなくて、今の俺たちを!
無音
……うん!!



月明かりに照らされたゆとりの凛とした表情は、とても美しく映った




ゆとり
さっ!長話になる前にさっさと寝よ
無音
うんwそうだね!
ゆとり
じゃあおやすみ!
無音
おやすみ〜!



バタンッ……













あの話を聞いてしまったからか、俺はなかなか眠りにつくことができなかった




瞼を閉じてみても、2人のことしか考えられなくなる




ふと、窓の外に目をやると屋根の上に人影が見えた




無音
…誰だろう、あれ



ガチャッ…



無音
よいしょっと…



窓を開け、屋根の上に登ってみると、その姿がはっきりと見えた






無音
もるでお!!
もるでお
うおっ、びっくりした
無音
そんなところで何してんの?
もるでお
ちょっと…寝れなくて
無音
ふふっ同じだww



俺はもるでおの隣に腰掛けた


無音
ゆとりから全部聞いたよ、もるでおのこと
もるでお
………あっそ
無音
何人もの人に避けられて、恐れられて…
無音
その血のせいで、ずっと酷い扱いされてきたんだよね
もるでお
………
無音
でも俺は絶対そんなことしない!
無音
2人が俺を認めてくれたように、俺も2人を信じる!
無音
だからッッ!
もるでお
俺は英雄になりたい
無音
……え?
もるでお
曾祖父さんの名前をくつがえすくらいの英雄に
無音
……ッッ!
もるでお
俺の代で裏切り者トレイターの呪いに終止符を打つ
もるでお
だからお前を利用したんだ
無音
利用……?
もるでお
魔界ノイズに行くことができるのは真の勇者とその仲間だけ
もるでお
そう法律で決まっている
無音
………
もるでお
俺があの時「仲間に入れてほしい」って言ったのはお前が持っている『真の勇者の血』を利用したからだ
無音
…………
もるでお
最初は断られるんじゃねぇかなって不安だったけどすんなりOKするからびっくりしちゃってww
無音
…なんか感じ悪っ〜
もるでお
はははっwwあんまり人を信用しない方がいいぜ?
もるでお
俺みたいな『裏切り者』がいるかもしれねぇからな
無音
…むっ💢
もるでお
はっきり言うけど、今の俺はお前より強い
もるでお
そしてこれからもお前の先を進む
もるでお
本当の英雄になりたかったら、まずは俺を越してみろ



そう言い放ったもるでおの目は鋭く輝き、脅威の威圧感を放つ




俺は自分の胸の鼓動が高鳴っていくのを感じた


無音
いいよ!やってやる!!
もるでお
………!
無音
必ずお前を越してみせる!
無音
英雄になるのは真の勇者であるこの俺だ!!
もるでお
ふんっ、かかってこい

- ̗̀🤝🏻 ̖́-




現実でも、この世界でも、俺にとってもるでおは




最高のライバルだ!

































もるでお
んじゃ、お前も早く寝ろよ
もるでお
明日は朝からしゃけみーのトレーニングが入ってるから
無音
………え?
無音
…ト、トレーニング?
もるでお
…聞いてないのか?
無音
えっ、だって!まずは仲間探しからってすたんちゃんが!!
もるでお
馬鹿、防具が出来るまでは体力づくりしねぇといけないんだよ
無音
はぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?
無音
なんで言ってくれなかったんだよ!!運動したくないよ俺!!
もるでお
うるせぇな!!勇者が文句言ってんじゃねぇよッ!!
無音
こっちだってなりたくてなった訳じゃないぞっ!
もるでお
じゃあさっきの言葉はなんだったんだよッッ!💢




























ゆとり
……アイツらうるせぇな〜
ゆとり
…夜なんだから静かにしろよ💢





星が瞬く月夜の空に、俺たちの声が響いた









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