渡辺side
タクシーをひろって、
当たり前のようにあなたを真ん中にして座る。
別に眠くなんかないけど、
阿部ちゃんと楽しそうに話すあなたが気に入らなくて、
あなたの肩に寄りかかって目を閉じた。
自分でも無理矢理だなと思う言い訳。
でももう、そんな事はどうでもいい。
相手が阿部亮平なんて、
俺と真逆のタイプすぎて、
普通にダメージくらってんの。こっちは。
家について、エントランスをくぐり、エレベーターに乗り込む。
先陣を切って歩くのは、
ちょっとした見栄。
鍵を開けさせて、部屋に入ると、
中はこの前と変わらず整っていて、微かにアロマの香りがした。
3人で順番に手洗いうがいをして、
リビングへ戻る2人を他所に、
俺は一応家主に許可をとってメイクを落とす準備を始めた。
…つーかもうシャワーあびるか。
さすがの俺でもちゃんと許可をとるくらいの常識はあるから、声をかける。
あの日とは全然違う、いつも通りのやりとりに
どこか安心する俺。
いつもなら時間をかける風呂の時間も、
今日は阿部ちゃんとあなたを2人だけにしたくなくて、急ぎ足。
あー、なんか、らしくねぇな。
棚に並ぶスキンケア用品は、ほぼ俺のすすめたもので揃えているあなただから、
使い慣れているものばかり。
ただ、自分から香るシャンプーの匂いは、
あいつの匂いだから、
なんかニヤつく。
は?きも、俺。
もう阿部ちゃんがあざといを通り越して
出来た男すぎる。
俺には恥ずかしくて言えないようなセリフが、
ポンポン出てくる。
しかもナチュラルに。
急に真面目に本読みを開始する2人。
俺はソファーに座りながら、スマホを触って過ごした。















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。