担任の教科の授業、体育祭の準備時間。実行委員のサキちゃんが教卓の後ろに立ち仕切り始める。昨日の出来事もあったし、俺も桜に興味を持ち始めた。
ブルーメが作ったという青い桜を俺もいつか見てみたい。
まばらな拍手が起きるが、めぐちゃんは無反応。相変わらず外を見て、退屈そうにしている。程々に日にちが経ったはずだが、まだ体育祭の取り組みには前向きじゃないらしい。
めぐちゃんの方を向いて、少し嫌味っぽく言ったサキちゃん。
めぐちゃんは視線を合わせようとせず、何も言わなかった。そうすると、サキちゃんはひとつ息を吐いて、ある紙を取り出してめぐちゃんに突きつけた。
それは、空欄がきっちり埋まった休部届。
教室の空気がピリつき、誰もまともな言葉を発せないでいる。
めぐちゃんは、楽しいことをのびのびできているサキちゃんに劣等感を抱いているのかもしれない。
めぐちゃんはその後何も言わなくなると、サキちゃんは話し合いを仕切りそれぞれの作業に入っていった。めぐちゃんも、友達と話しながら、飾りを作っている。一旦は落ち着いたようだ。
劣等感、って、なんだろう。
僕は本を手に取り、翼を広げた。サクは自分の杖と魔導書を持ってきて、今日も今日とて羽に術式を刻む。
俺も多少、勉強はしている。最初は、戦いの多い世界での兵器としか思えなかったが、楽しいこともできると少しずつわかってきた。結界、魔力探知が特に惹かれる。
よくない言葉を使うようになってしまった…。しばらく、コクアと会うのを禁止にしようかな、、
それは感覚だけでできるからだ。サクにそれを言うといつも怒られる。魔法は全てルールに則って動いているんだーって、コクアみたいなこと言っちゃって。
神に対してなんて生意気なことを言うんだ…とはいっても、まだ子供だもんなあ、
小さく手の中で炎を作ってみる。感覚でばっと生み出すことはできるが、ルールを考え出すと固まって動かなくなる、けど、サクによるとルールで理解することが大切らしい。
そのルールとやらが長々と書かれた本をぼうっと読んでいると、翼に熱がこもる。サクが魔力を込めて、試しているんだろう。つまり術式は書き終わったということだ。
空気がないと、振動を伝えるものがなくなるから声が聞こえなくなる。だから空気がないエリアに入り、外にいるサクに向かって叫んで、声が聞こえなかったら成功…なはず。というかそもそも、息できないよね。いや、神だったら呼吸とか必要なかったり…?
サクの杖に俺の魔力を込めると、青色が桃色に染まっていく。
その杖で、魔導書をつついた。
聞こえない、
サクは俺の目を見ると、少しニコッと笑ってから、杖を地面に置いた。
サクはなにやらぶつぶつ言っているようだがもちろんこちらには何も聞こえない。
外に出ようとしても、見えない壁に阻まれぶつかる。
…って。魔力を届けるものもないから、念話も使えないのか。
サクはニヤニヤその様子を見つめている。
これは、サクが俺を試しているということか、?
バキッッ
結界を翼で叩き割る。
これは…どうすれば、いいんだろう。
別にいい、と、俺の本音を言ってしまえばそうだ。
しかしサクが今後もし、不意打ちをしてくれば、反射結界でタダじゃすまない。そのことを、サクは知っているはずだ。
怖い。どうして突然、こんなことを
怒っているのが伝わったのか、サクは反対側を向いて、縮こまってしまった。
一旦、天使たちに、聞いてみるか。














編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。