「勅使瓦 呉羽が転校した」
この事はたちまち学校中に広まった。学校中がこの話題で持ち切りだった。
「プリンシパルの一人が………」
「陽だまりの姫が………」
「嘘だろ……信じられない………」
だが、1番驚いてたのは陸,朝陽,美月の3人で……
衝撃的すぎてその日はそれしか考えていなかった。
そして、学校が終わり玄関に向かうと、靴箱にある物が入っていた。
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あっくんへ
最初の頃は全然喋らなくて、あっくんは敵意むき出しだったね。それが、今はこんなに仲良いなんて………あの頃、私たちがこうなるなんて思ってもなかったよ。
あっくんには沢山助けてもらったし、相談にも乗ってもらった。あっくん、普段はツンツンしてるけど、ホントは優しいんだよね。
最初は嫌がってた「あっくん」呼びも今では何も言わず定着してるし(笑)
あっくんと仲良くなれて良かったと思ってるよ!
何も言わずに行っちゃって、ごめんね。
あっくんがこれからも楽しく幸せに暮らせることを願っています。そして、私を忘れてください。
今まで本当にありがとう。さようなら。
呉羽
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陸へ
私たちの出会いは最悪だったよね………
まさか、パンツを見られ馬鹿にされるなんて思ってもいなかったよ!こんな、漫画みたいな展開さ!
最初は無口で無愛想で嫌な奴やと思ってた。でも、本当は誰よりも仲間思いで優しくて、よく周りを見てる。まぁ、良い奴なのかなって思った。
陸とはよく口喧嘩したね。ムカつくこともあったけど陸と一緒で楽しかった。幸せだった。あんたと過ごした日々は私の最高の思い出だよ!
何も言わずに去ることになって、ごめんね。
最後にお願いがあります。
私を忘れてください。これから先、何があっても、私の事を聞かれても「知らない」と答えてください。絶対に。
今まで本当にありがとう。さようなら。
呉羽
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陸は美月の手紙を奪い取り、読み始めた。
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美月へ
ごめんね、やっぱり無理だった。
あの人はもう私の知ってるあの人じゃない。
美月には沢山迷惑かけたし、沢山助けてもらったね。迷惑はこれからもかけるかもしれない。あの人が美月の元へ行くかもしれない。何か聞かれたとしても「知らない」と答えて。なるべくあの人が行かないようにするから。そして、勅使瓦家の事は忘れて……と言いたいところだけど美月だけは覚えててほしい。勅使瓦家に起きた出来事を………。
小さい時から美月は私の最高の親友だった。
例えもう会えないとしても私たちが親友てことは変わらないよ!
大好きだよ、美月!今までありがとう。
さようなら。
陸とあっくんのこと、よろしくね。
呉羽
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向かった先は美月の家の地下、美月のラボだった。
発明ナンバー(いつの間にか)14 『ミエール』
見た目は普通のと大して変わらないサングラスだが、過去や未来の出来事を見ることができる。
発明ナンバー15 『キコエール』
見た目は普通のと大して変わらないヘッドホンだが、ミエールと同じく過去や未来の出来事を聞くことができる。
声の録音や通信もできる。
美月にそう言われて陸と朝陽は渋々付けた。
すると、「うぃーん」という音とともに機械が動き始めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!